見出し画像

三日坊主日記 vol.219 『12,000キロの彼方からイスが届いた』

4月に注文していた椅子が届いた。


予定より約2ヶ月早かったが、それでも4ヶ月掛かっている。結局、スエズ運河を通ってきたのか、喜望峰を回ってきたのかはわからないが、とにかく昨日無事我が家にやってきた。


この椅子は、僕がフリーランスの演出家として独立スタートした時、大先輩とシェアしていた事務所で使っていたモノと同じモデルだ。30歳からおよそ十数年間、この椅子で企画し、演出コンテを描きまくった。打合せもしたし、居眠りもした。僕の演出家としての大切な時期を、精神的にも肉体的にも支えてくれた思い出の椅子が、随分久しぶりに帰ってきた。


あの頃は本当によく働いた。というか、仕事しかしていなかった。今考えると、30代から40代にかけての一番よい時代を、仕事ばかりしていたというのは、ある意味非常に勿体ない気もするが、それが楽しかった。楽しかったし、それがその時は最善だと信じていた。あの頃、がむしゃらに働いたからこそ今でもなんとかやっていられるし、こうして振り返ることができるのだと思っている。


いやいや、感傷的になっている場合ではないし、この椅子を買った理由は当時を懐かしむためでは決してない。なんと言ってもこの椅子はデザインがイイし、座り心地がイイのである。長時間座っていても疲れにくい。それでも疲れてきたら小さい座面にお尻をずらして座り、背もたれに頭を乗せて居眠りができる。ちょっとわかりにくいかも知れないが、こんな体制が可能な椅子はちょっとないように思う。


今はまだピカピカの状態で、部屋の中でちょっと浮いて見える。しかし、月日とともにどんどん味を増してくることだろう。これからの僕の人生をしっかりと支えてください。末長くよろしくお願いします。


さっきまで晴天だったのに、夕立がやってきた。広島平和記念日。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?