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三日坊主日記 vol.217 『契約書と管轄裁判所』

久しぶりの夕立ち、雷も鳴っている。今日は朝から著作権に関する覚書の下書きを作っていた。


日曜日は世間が静かだし、仕事の連絡もまず入ってこないので、落ち着いた気分で仕事ができるから好きだ。CM演出家という職業上、契約書などとは無縁に過ごしてきたのだけれど、法人にして自社でも制作を請け負ったり、映画を製作し始めると、契約書や覚書が必要な場面が増えてくる。


内容によってはもちろん弁護士さんにお願いすることになるんだけど、ちょっとしたモノならなるべく自分で作るようにしている。これまで無関係に生きてきたところなんで随分と勉強になるし、発見もある。そして経費の節約にもなる。ただ、とても神経を使うし時間も掛かるので、いつもいつもできることではないのだが。


僕が自分で作る程度の契約書なんで、あまり複雑なことを多くは書いていない。大切な部分を前半に書き、後半以降はお決まりの定型文をどこかからコピーして貼り付けるというようなことになる。日本国内で同じ言語を話し、同じ法律と常識のもとで普通に仕事をしているのだから、それで困ることは起きないはずなのだ。


また、取引相手が契約書を送ってくることもよくある。その場合も自分で作る時と同じで基本相手を信じているから、ざっと目を通すだけ。細かいところまで確認することはない(できない)。本当は全て弁護士さんに確認して貰えばよいのだけれど、なかなかそういう訳にもいかないし、やっぱりそれで困ることは起きないはずなのだ。


しかし、残念ながらトラブルが起きる時は起きてしまう。先日、僕もトラブルに巻き込まれてしまい、係争騒ぎになった。内容は書かないが、法律に頼るしか方法がない状況になり、弁護士さんにお願いすることになった。


その時、問題になったのが管轄裁判所。契約書の最後の方に「本契約について訴訟の必要が生じた場合には、〇〇の住所を管轄する裁判所云々」と書いてある。素人は裁判なんかどこでやっても同じだと思うし、そもそも裁判沙汰になるなんて考えていないのだ。しかし、場合によってはこの一文が重要になってくる。


僕の場合は相手が東京の会社で、訴訟になったら東京の管轄裁判所でやるという一文が書いてあった。つまり、僕は大阪にいるので大阪の弁護士さんにお願いすることになる。ということは、必要に応じて弁護士さんが東京の裁判所までいくことになる。どこでもドアがあれば別だけど、そうじゃなければ弁護士さんの交通費と出張費が掛かることになる。それでなくても時給の高い人たちだ。想像しただけでも軽い眩暈がする。


幸運なことに、今回は弁護士さんだか裁判所の担当官だかが上手くやってくれて(もちろん内容による)、そこの費用は掛からずに済んだが、基本は掛かると思ったほうが良い。みなさんも、もし契約書を交わすようなことがあったら管轄裁判所のところをちゃんと確認しましょうね。


さっき草案を書き上げた覚書も、その部分はしっかりと確認した。二度と同じ間違いを犯さないように。



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