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三日坊主日記 vol.112 『人の味覚の不思議』

僕は(我が家では)、あまりインスタントラーメンを食べない。


というか、買い置きをしていない。決して嫌いなわけでも、お高くとまっているわけでもなく、ただ何となく。


もしかしたら同じインスタントラーメンでも常に買い置きして食べるよりも、たまにどうしても食べたくなって、わざわざ買いに行って食べた方が美味いからかもしれない。知らんけど。


日清からお椀でつくる。というインスタントラーメンが出ている。その名の通りお椀に麺を入れ、お湯を注いで食べる少量のインスタントラーメン。妻がこれを買ってきてくれた。小腹が減った時にちょうどいいので、ある日試しに食べてみた。


3食入りパックを破り、小袋をひとつ取り出し、中にある麺をお椀に入れる。具らしきものもスープらしきものもない。さすが日清、チキンラーメン方式で麺に味がついているようだ。指示通り熱湯を160ml入れ3分間待ったら出来上がり。


非常に簡単だし、量も少なくてとても良い。うまく考えたものだ。しかし、残念なことに味がちょっと薄い。お湯を入れすぎたのだろうか。ちゃんと計ったつもりが間違っていたのかもしれない。


後日、前回味が薄かったのを教訓に、熱湯を少なめに入れて食べてみた。美味い。塩加減もちょうど良いし、量もいい。


間食というのは、腹が減ったような気がしているから欲するだけなんで、一時的に気を紛らわせられれば何でもいいのだ。その点これは手軽だし、変な具や特別な味がついてないのがとても良い。例えると子供の頃一時話題になった宇宙食のような感じとでも言おうか。空腹を一時回避するためだけにある、合理的食品のようだ。


さらに数日後また食べたくなった。合理的な上に中毒性まであるのは驚きだ。最後のひとつを取り出そうと大袋に手を突っ込み、小袋を取り出そうとすると、それ以外に何か入っているではないか。何だろう。慎重にその物体を取り出して僕は驚愕した。


スープだ。麺とは別の包装になっている具入りの粉末スープがあるではないか。全く気がつかなかった。僕はこのスープの存在を知らずに過去2回麺についた微かな味だけで食べていたというのか。恐るべし、日清。さすがチキンラーメンの生みの親。


ちなみに僕が子供の頃はまだ余りインスタントラーメンの種類が多くなく、日清のチキンラーメンとエースコックのワンタンメンが二大巨頭。僕は断然ワンタンメン派だった(いまでも)。


話を戻そう。3度目の正直で具入りスープを麺と一緒にお椀に入れ、1回目と同じくレシピ通りに160mlの熱湯注ぎ、待つこと3分間。今度こそ完璧なレシピだ。果たしてその味は。


結果、不思議なことに何の変哲もない普通のラーメンになってしまった。具入りスープを入れない方が美味いとは言わないが、入れることで多くのモノが失われたように思うのは僕だけだろうか。


そして我が家には、捨てるに捨てられない具入りスープが2袋、所在なさげにいつ来るかわからない出番を待っている。



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