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(3) 映画作家と時代性 松本俊夫

松本俊夫とジョナス・メカスからはじまった

芸術映画に夢中になったのは、大学に入ってからでした。
ある日、実家に帰ったところ、父親の本棚に松本俊夫の『映像の発見 アヴァンギャルドとドキュメンタリー』(三一書房、1963年)を見つけて読みはじめました。親子二代でボロボロになるまで同じ本で読んだわけです。父は全共闘世代の映画青年だったので、懸命に赤線を引っぱったり、括弧でくくったり、書きこみをしたりしていて、苦闘のあとがうかがえた。映画に関する本でここまでして読まなくてはならない難解な本があることに、衝撃を受けました。
『映像の発見』で紹介されていた前衛・実験映画を観るために、「ぴあ」のオフシアター欄を毎号チェックするようになったのも同時期のことです。そこから、ジョナス・メカスが書いた『メカスの映画日記──ニュー・アメリカン・シネマの起源1959‐1971』(フィルムアート社、1974年)で書かれているアメリカ実験映画の世界にのめりこみ、ほしの・あきらが書いた『フィルム・メーキング──個人映画制作入門』(フィルムアート社、1980年)を読みながら、8ミリと16ミリフィルムで個人映画を撮りはじめました。

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