新内閣発足や衆議院選挙、政治関心が上昇の一方で景況感には影…?定点観測データで消費動向を読み解く
東京都では3日間の真夏日を観測するなど、全国的に例年よりも気温の高い日が多かった10月。また、石破内閣発足や衆議院選挙といった国政の大きな動きもありました。そんな10月の消費動向や生活マインドについて、ウイークリー生活者定点観測調査「Macromill Weekly Index」から読み解きます。
国政への関心度が新内閣発足と衆議院選挙のタイミングで上昇
日本の政治に対する関心を尋ねた「国政」の指標を見ると、8月から9月中旬頃までは「非常に関心がある」が15%前後、「非常に+ある程度関心がある」の合計では60%前後と、ほぼ一定で推移しました。
しかし、石破内閣発足直後の10月第1週には「非常に関心がある」のスコアは19.1%と、8~9月の週より最大で5ポイント以上高まりました。「非常に+ある程度関心がある」の合計では65.6%とこの3カ月間では最高となり、生活者の政治関心の高まりがうかがえます。
そして、衆議院選挙直前の10月第4週には「非常に関心がある」が21.7%と上昇し、強い関心層の割合が高まったことがわかります【図表1】。
回復傾向だった景況感が10月に入り悪化。先行き見通しに影を落とす
生活者の身の回りの景況感を示す「景気判断」の指標を見ると、10月の悪化傾向が読み取れます。
夏以降を振り返ると、日経平均の大幅下落、台風や南海トラフ地震臨時情報の発表などが影響し、調査への回答現在の景況感を示す「現況指数」(赤の折れ線)が8月初旬にかけて悪化しました。その後40.0ポイント(8月第4週)まで徐々に回復しました。9月第1週は台風の影響で不安感が強くなったためか一度大きく低下しましたが、その後、2~3カ月先の景況感を示す「先行指数」(青の折れ線)も43.0ポイント(9月第3週)まで回復しました。
10月に入ると、新内閣発足と下旬に控える衆議院選挙によって先行き見通しが難しくなったためか、先行指数・現況指数とも再び悪化しました。その後、選挙後の10月第5週にはスコアが回復しています【図表2】。今後の政治運営の枠組みによっても、生活者の判断や評価は変わってくることが考えられます。
米の値上がり実感はピークを越えるも依然として高い水準
ここからは、モノやサービスの値上がりを実感した品目を尋ねる「値上がり品目」に関する生活者意識を見ていきます。
“コメ不足”の報道が増えた8月以降を見ると、米の値上がりを実感したと回答した人の割合が9月第2週に72.6%まで上昇し、当設問の聴取を開始した2019年12月以降で最も高いスコアとなりました。【図表3_1】
その後、新米が流通したことにより値上がり実感割合は下がりつつありますが、10月第1週時点では67.6%、第5週時点でも57.5%と依然として高いスコアです【図表3_2】。新米価格が昨年よりも高価格であることが報じられており、値上がり状態が解消したという感覚は生活者の中ではまだ低いようです。
その他、10月からはチョコレート菓子やスナック菓子などが値上げされたことを受け、「菓子」の値上がり実感割合が10月上旬から上昇し、やや高めに推移しました。
10月のまとめと11月の注目点
10月は、景況感がやや悪化傾向となりました。また、米などをはじめ、各種品目に対する生活者の負担も続いている様子がうかがえます。
今後、選挙後の政治運営の体制がより具体化されていく中で、生活者の期待・要望、消費生活などの変化を継続的にウォッチしていくことが重要と言えます。
■筆者紹介
■ウィークリー生活者定点観測調査『Macromill Weekly Index』とは
日本における毎週の生活者意識や消費動向を継続的に把握する、マクロミルの定点観測調査データです。1週間の消費金額や、消費カテゴリーのほか、内閣府が実施する消費動向調査や景気ウォッチャー調査の調査票を参考にした消費マインドや景況感などの指標を幅広く取得しており、政府が公表する「月例経済報告等に関する関係閣僚会議資料」にも採用されました。
調査は毎週水曜に実施、データは同週の金曜に即時性高く公表しており、BIツール「Tableau」との連携によって、性別や年代別、地域ごとなどの動向把握が可能です。
【調査概要】
調査方法:インターネット調査
調査対象:全国、20~74歳の男女1,000人
割付方法:人口構成比割付(令和2年国勢調査の性年代別人口比率に基づく)
調査日時:毎週水曜日実施
調査主体:マクロミル
・・・