地テシ:273 「Elec Head」と「Stray」をクリアしたよ!
現在でも一部の映画館でゲキ×シネが延長上映中の劇団☆新感線「狐晴明九尾狩」ですが、Blu-ray Discの発売日と詳細が発表されましたね。
昨2021年の秋に上演された作品ですが、約一年経って10/27(木)の発売です。中村倫也さん、吉岡里帆さん、向井理さんを中心にした、めくるめく陰陽師と妖かしの世界がお手元に! やたらと豊富な特典映像も満載ですよ! さあ、予約だ!
さて、前回はVR世界をテーマとした小説であるニール・スティーブンスンの「スノウ・クラッシュ」とアーネスト・クラインの「ゲームウォーズ」をご紹介いたしました。その勢いで、昨年読んだ奥泉光の「ビビビ・ビ・バップ」のご紹介をしようとか思いまして、改めて読み直しているのですが、やっぱり面白い。
いや、面白いのは何よりなのですが、何といっても長いんですよ。チマチマ読むクセのある私ですから一週間ではとても読み切れません。そんなワケでして、こちらのご紹介は近日に譲ろうと思いました。思っちゃいました。せっかくだから二周目を読み切ってから書きたいと思います。
その替わりってワケではないのですが、以前にもチラッとご紹介いたしましたNintendo Switchのアクションパズル「Elec Head」と、PS4/PS5の猫アクション「Stray」をようやくクリアしましたので、そちらのオススメレビューを書いてみたいと思います。
いや、ほぼ同時に二つのゲームをクリアしちゃったのよ。私は複数のゲームを同時にチマチマプレイしてしまうのですが、今は機種ごとに違うゲームを進めていたのね。Switchでは「Elec Head」を、PS5では「Stray」を、ちなみにXbox Series Sでは「Endling」をプレイしていますよ。
なお、ネタバレというほどではないのですが、若干ではありますがゲーム内容に触れる部分もありますので、気にする方はお気を付け下さい。いや、ゲームをプレイし始めればすぐに気付くことばかりなのですけどね、念のため。
まずは「Elec Head」から。こちらは、ファミコンライクな、いやむしろゲームボーイライクなシンプルな見た目のアクションパズル。しかもほぼ一人で作ったそうで、まさにインディーゲームなのです。
操作もシンプルだしできることもシンプル。なのに、奥深い仕掛けが詰まっているという、ゲーム好きには堪らない作りになっています。
このゲームのキモとなるアイデアはたったの二つ。
①主人公のロボットは漏電しているので、触れるモノに電気を流してしまう
②主人公のロボットは漏電している「頭」を取り外して投げることができる
このたった二つのギミックで、最初から最後まで引っ張ります。いや、頭を投げられるようになるのは途中からですが、まあとにかく、この二つの要素だけで、やたらと頭を捻らなければならないパズルを繰り出してくるのです。
主人公ができるアクションは少なくて、走る、ジャンプする、頭を投げる、これだけ。あとは、まあ、自爆。パズルに詰まった時に自爆できます。
頭を投げてしまった時にも、10秒以内に合体しないと爆発します。爆発した場合でも、最後のチェックポイントからすぐにリトライできます。もう、スグに。この《リトライが早い》というのが快適で、つまりそれはパズルで詰まりやすいというコトの裏返しでもあるのですが、スグにリトライできるのでついついまたプレイしてしまうのですよ。
主人公のロボットは地下迷宮っぽいところに閉じ込められています。壁や床はだいたい金属でできているので、ロボットが触れていると電気が流れてしまいます。そして、その先に仕掛けがあれば作動します。床が動くとか、壁が生えてくるとか、まあいろいろ。
でも、ロボットが手を放したり、ジャンプして空中にいる間は電気が流れないので、これらのギミックは停止します。電気が流れるか,流れないか。
たったこれだけのアクションで、数限りないパズルを生み出しているのですよ! よくもまあこれだけバリエーションのあるパズルを思いつくなあと感心します。
ゲームのエンディングにはクリアタイムが表示されるのですが、私の場合は約5時間でした。そして、ゲームの進行とは直接は関係ない隠しアイテムが20個ありまして、これを全部集めてのクリアタイムは約11時間。え? 隠しアイテムを探す方が時間が掛かってる?
ゲームのボリュームとしては6エリア+αありまして、いつでもエリアの頭には戻れるのですが、隠しアイテムを探すにしても結局は各エリアをほぼ全てプレイしなくてはなりませんからね。一度解いたはずの仕掛けの解き方を思い出せなくて、また時間が掛かるという体たらく。もちろん隠しアイテムは《隠し》てあるので、それを探すのにも苦労しました。
さらに、《ゲームの色合いを変える》ような隠しアイテムもたくさんありまして、こちらは全てを見つけられませんでした。実際に「行けそうで行けない」ところもまだあるんです。まだあっちゃうんです。たぶんそこに隠しアイテムがあるんだろうなあ。
いや、もっと頭を捻れば解法が見つかるのでしょうが、なんかもういいや、とか思っちゃったのでここで終わりとします。
ゲームクリア時に流れるスタッフロールがホントに短くて、ホントにほぼ一人で作ったんだなあ、と感心してしまいました。五年以上掛けて、磨きに磨いた珠玉の作品だと思います。
シンプルなのに奥深い、各面を解けた時にはパァァッとカタルシスを感じる、カワイイアクションパズルです。Windows版とNintendo Switch版はどちらも980円ですので、気になる方は、ゼヒ!
続いては「Stray」のオススメを。Annapurna InteractiveさんがPS4とPS5でリリースした、猫愛に溢れた、猫になりきれる、猫好きのためのゲームとして、急速に話題になっている猫ゲームです。
ある一匹の猫が、ロボットたちがたくさん暮らしている何やらサイバーパンクっぽい街に落ちてしまい、ロボットたちと交流しながら地上を目指していくというアクションゲームです。
主人公である猫のモーションなどが可愛くて話題なのですが、途中で出会って行動を共にする「B-12」というロボットも小さくて可愛いんです。B-12は端末にアクセスできるので攻略にも必要なのですが、ロボットたちの言葉を翻訳してくれたりアイテムを保管してくれたりと、様々に役に立ってくれます。
正直に言いまして、ゲーム性は割と低いです。謎は簡単だし、アイテム探しも総当たり(行けるところに全部行けば見つかる)だし、一本道だし。
ただ、世界観があまりにも素晴らしい! 九龍城のような「ブレードランナー」のようなネオンと配管とトタン板で彩られた、雑多で混乱したサイバーパンク風な街並み。何かの廃液やゴミで汚れた下水道。緑と花に囲まれた妙に居心地良さそうな塔。
そして、何らかの理由で人間たちが全て居なくなった世界で、あまりにも人間くさく暮らしているロボットたち。お洒落を楽しみ、理容室で頭を整え、ギターを弾き、クラブで踊るロボットたち。むしろ人間以上に人間っぽい。
この、人間に憧れ、人間を模倣しているかのようなロボットたちの存在が、このゲームの色合いを決めているのだと思います。もちろん、主人公は一匹の猫なのですが、このあまりに人間くさいロボットたちを含めた街そのものが主役なのではないかとすら思えてくるのです。
操作は猫目線ではなく、猫の斜め後ろから見下ろす、いわゆるTPS(Third Person Shooting)の視点です。いや、PersonでもShootingでもないからTCW(Third Cat Walking)かもしれません。その分、猫の可愛い仕草やしなやかな跳躍を思う存分堪能できます。
また、プレイには直接関係はありませんが、寝たり鳴いたり爪を研いだり棚からモノを落としたりと、猫らしいアクションができるのも素晴らしい。しかも、若干ではありますが、これらのアクションがストーリー攻略に必要だったりする場面もあるから面白い。
次に行くべき場所を、光の演出やオブジェクトの配置などで見事にリードしているのも効果的です。直感的に操作できる、丁寧なレベルデザインだと思います。
あと、PS5の優秀なコントローラでプレイすると、猫の鳴き声が手元のコントローラから鳴り、繊細な振動を伝えてくるのがリアルです。
さらに、猫が寝るアクションをすると軽いイビキをたてながらコントローラが微妙に振動します。これはネットで見つけた情報なのですが、この時にコントローラをお腹に乗せると、まさに子猫が寝ているかのような感触になるんですって。私は猫を飼ったことが無いので実感はありませんが、確かにそんなような感触を得ることができました。猫好きのPS5ユーザーには是非とも試して頂きたい感覚です。ほんのり暖かいし。
こちらも少人数によるインディゲームでして、クリア後に流れるスタッフロールも比較的短めでした。ロールの中にスタッフたちが飼っている猫たちの名前もあるのが微笑ましい。
私のプレイ時間は約9時間で、クリアには直接関係のない収集要素である「メモリー」の取り損ねを集めても10時間も掛かりませんでした。
急げばもっと早くクリアできるのでしょうが、そんなのは勿体ない! 猫になりきって、緻密に描写された美しく、そして醜いこの世界をじっくりゆっくり楽しんで頂きたいと思います。
そんなこんなの「Stray」。PS4/PS5版が3,520円、Win版が3,500円です。ただし、PlayStation Plusのエクストラかプレミアムというゲームのサブスクに入っていれば定額でプレイできますので、条件に当てはまる方はぜひ素敵な猫ライフをお楽しみ下さいませ。
今回は、短い時間で終わる濃密なインディーゲームを二本ご紹介いたしました。確かにどちらも小粒ではありますが、練りに練られた感が凄いので、決してあっさりがっかりな気分にはならないと思います。重厚長大なゲームに疲れたアナタにゼヒプレイして頂きたいと思います。