第一章「制御とは」
現代制御を学ぶ前に、まずは「制御の前提」を整理する。できる限り、分かりやすく書くので、少しでも役立てると幸いである。
私たちは入力を加えることで出力を得る。
制御したい対象を制御対象といい、私たちは操作量を制御対象に与えることにより、制御量を得て、出力を得るのである。
制御対象はシンプルなものもあるが、多くの場合、複雑である。総称として、システムと定義する。
システム
制御工学として扱う「システム」のほとんどは、動的システムであり、微分方程式である。
たとえば、電気回路(RL回路)のコイル電圧は、時間変化に依存するし、物理現象(バネなど)はバネ係数、摩擦係数、質量がそれぞれ位置変位、速度、加速度に依存する。
※時間変化とは微分のことである。速度は時間あたりの位置変位、加速度は時間あたりの速度変化。ここを理解していないと、意味不明になる。
システムが線形であるか、非線形であるか
線形、非線形については、別資料で解説するが、簡単に言うと
「定数が時間によって変化するか否か」
※たとえば、RL回路の微分方程式であれば、Lが時間で変化してしまうと、もうワケが分からないほど、ややこしく感じると思う。それが非線形システムである。
物理現象でいえば、バネ定数、摩擦係数、質量などは一般的に定数と前提で定義されるが、定数でない場合は非線形システムとして扱わないといけない。
電験の試験などでは特別な断りがなければ、線形システムで考えることがほとんどである。
※制御の教科書や書籍だと、ここが明記されていない、もしくは難しい言葉で書いているので分からなくなる。
伝達関数の問題点
いよいよ、現代制御の序論に入っていくが、古典制御と現代制御。
どこに違いがあるのだろうか。
実は、古典制御は古いもので使えないもので、現代制御が新しいから使えるというのは間違い。
古典制御は利点もあるが、欠点としては「(伝達関数で表す)出力は分かるが、変数の変化を知ることができない」のである。
※複雑な制御系となったとき、内部パラメータを把握することができないという言葉が分かりやすい
※直列の制御要素をもったシステムがあったとして、最終段の変化以外を把握することができない。
現代制御
現代制御は、伝達関数では表現しきれない変数についても、表現することができる。
「状態空間」という言葉だが、具体的には、数学の「行列」「ベクトル」を駆使することで、システムを見える化するのだ。
※状態空間は係数行列、状態変数ベクトル、出力ベクトルで表現される。これらを状態方程式や出力方程式ともいう。
まとめ
次回以降、数式を入れていくが、今回の話がまるっと抜けた状態で過去問を見るので、サッパリと分からないのである。
きちんとした前提を整えれば、現代制御も理解できる。
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