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空白の時刻表◆たびことば

 
 乗換えアプリで効率の良い移動手段を調べ、最短ルートで目的地へ。
 それが私の日常だった。
 そうはいかなかったのが、朋輩と出掛けた石川県の能登への旅だ。
 小さな駅では、快速電車への都合の良い乗換えは出来ない。
 うたた寝してるみたいにゆっくりと、のと鉄道は進む。
 隣を見るといつも多忙を極めている朋輩が、ぽわんとした顔つきで車窓に流れる景色を眺めていた。
 
 おやつを食べてお喋りしたり、沈黙を味わったり、笑ったり。
 心地よい時間はたっぷりある。
 いくら考えても、私たちは急ぐ必要なんてなかった。

 ようやく辿り着いた能登には、紫紺の海とふんだんな緑があった。
 二人して温泉で寛ぎ、美味しいごはんを堪能したお宿。
 輪島の朝市でお土産を見つけ、青々と波打つ千枚田の絶景に圧倒された。
 遠い場所へ出掛けるには、いつもより時間がかかる。
 そんな当たり前のことこそが旅の楽しみだと気が付いた、私たちの気散じ旅。







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早花まこ
読んでくださり、本当に有難うございました。 あなたとの、この出会いを大切に思います。 これからも宜しくお願いします!