
金曜の夜に見つけた【毎週ショートショートnote】600文字
お題:【伝説の安心感】
新宿歌舞伎町の外れにある
深夜のドーナッツ屋に美香と友梨はいた。
ダーツとテキーラで遊んでから、
男たちをケムに巻いてきた後だった。
「頼れる私のプリンスは、
いつになったら白馬に乗って
現れてくれるのかしら」
美香がコーヒーに砂糖をかき混ぜながら言った。
「今時プリンスなんて、伝説みたいなものよ」
テキーラの高揚感に浸りながら友梨が答えた。
「伝説って言い方も凄いなぁ。
聞いたことはあるけど、
見たことはないってレベルじゃん」
美香はそう言うとコーヒーを口にして、
「そんな伝説のパートナーって
どんな感じなんだろうなぁ」と続けた。
「きっと空気みたいな感じだと思うわ」
友梨はそう言って、バックからサングラスを出して掛けた。テキーラでまわっている頭には店の照明がきつすぎた。
「空気?」と美香が言うと、
「うん、見えないけど、
それが無いと生きていかれないの。
しかも心も温かい安心感で
包まれちゃってる感じ」
それを聞いた美香はうなずきながら、
「安心感って響くね。
理想のパートナーはまさに伝説の安心感」
と言った。
「どこに行けば伝説の安心感に会えるのやら」
美香がため息まじりに言うと、
「結構近くにいたりして。
いまから探しに行こ!」
友梨がはしゃいでそう言った。
「夜中の2時に?」
「でもこうやって金曜の夜中に
酔って話してる私たちって、、、、」
「見つけたー、伝説の安心感」
美香と友梨は二人してそう言うと、
手をたたきあった。
(おしまい)
たらはかにさんの企画
毎週ショートショートnote
投稿作品です。