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利益2億を200億に 〜マイナビを飛躍させたリーダーシップ〜
「マイナビ」はみなさんお馴染みの会社だと思います。
もともと毎日新聞社のグループ会社で、毎日コミュニケーションズという会社でした。
就職情報事業に進出して新卒就職情報サイト「マイナビ」を開始した直後2001年の利益は2億円、その後「マイナビ」ブランドで領域を広げて2019年には利益を260億までに成長しています。
その「マイナビ」が大きく成長した20年間を社長として舵取りをしたのが、
現株式会社マイナビ名誉会長である中川信行氏。
先日、ご縁と機会に恵まれまして、中川氏人生初のご講演を聞かせていただきました。
お話の中で、組織を動かすリーダーシップとして3つの点がポイントだと感じました。
1つは、共感されるビジョンを発信すること。
中川氏は、社長就任時に次のメッセージを全社員に伝えました。
1)新卒分野でトップをとる
2)人材総合ビジネスを目指す
3)教育分野や社会人向け情報誌の開拓
4)愚直に楽しく働ける会社を作る
5)利益を出し、会社の発展投資と社員に還元する
非常に明確な目標、将来的な方向性、共感とモチベートされるイメージを
伝えているのがわかります。
会社の目標を伝えるトップリーダーはたくさんいますが、
4)5)のような社員が目指したいと思えるビジョンを盛り込んでいることが
要だと思いました。
また、業界を震撼させたリーマンショックの際も、
社員が不安になりモチベーションが下がらないように、
「ひとりもリストラをしない」と伝えて乗り切ったといいます。
また、マイナビ5ヶ条を作成して、常に会社がどうあるのかを共有しました。
【マイナビ5ヶ条】
①社員が人生を通じて安心して働ける企業であることと、
社員が社内外を問わず、人生を大きく躍することにチャレンジすることを
支援するシステムを有し続ける企業であること。
②性別、学歴、入社経歴等で差別されることなく、
すべての社員にフェアーに活躍の機会と責任が与えられ、
フェアーに評価されるシステムと賃金体系が確立されている企業であること。
③社員の多数が自分の会社と自分の仕事を愛し、そのことが働く情熱とエネルギーに
換わる文化を有している企業であり続けること。
④利益が社の発展投資と株主、経営陣、社員、社会貢献等にきちんと還元される
企業であり続けること。
⑤クライアント、ユーザー双方から信頼される商品を提供し続ける努力と、
法令達反、社会モラルに反する事業やその疑いのあるサービスを利用することの
ない企業であること。
この5ヶ条もとても明確でわかりやすくかつ共感されやすくできていますし、バランスよく社員の幸せと会社の発展が両立された指針であることがわかります。
そして、成長を追うことだけに捉われて変な方向にいかないようにと③⑤がつくられています。急成長の陰で不祥事を起こす企業とそうでない企業の違いは、まさにこの点にあります。
2つ目は、ビジョンが達成されていると実感できるように施策を打つこと。
中川氏が、社員をモチベートするために行ったことの1つが、
就任時に発表した社員への還元です。
具体的には、業績目標を達成した際の還元目標を明確して実行したのです。
ちなみに、利益100億達成した際は、全社員賞与10ヶ月分出すと宣言をしたそうです。
また、大きく功を奏した取り組みが、全社顕彰表彰式だそうです。
全社員が集い、その年に活躍した個人やチームを皆の前で表彰するというものです。
社員の4分の1は表彰されるような制度で、ハワイ旅行等の豪華な顕彰も用意されています。
表彰される社員の割合が多いこともポイントだと感じます。
上位数%しか表彰されないならば、その可能性がある人しかモチベートにつながりませんが、4人に一人にチャンスがあるならばモチベートされる人数は相当増えます。
3つ目は、自らが汗をかき背中で見せること。
社長就任時に伝えたように、マイナビは新卒就職サイトから始まり、転職市場への進出、業種職種特化型サイトの展開、などを行なっていきます。
その中で、社内から反発が出た領域がマイナビバイトです。
なぜならば、新卒市場・転職市場とアルバイト市場では、営業スタイルがまったく異なるからです。
新卒市場・転職市場は、一定規模のある会社の人事や経営者に営業をしていきます。
一方で、アルバイト市場では、店舗や施設の店長や責任者に営業をしていきます。
営業対象も営業の仕方も全く異なるのです。
や
それでも、市場規模で言えば、アルバイト市場の方が断然大きいため、
中川氏はこの市場をどうしても進出したかったわけです。
そこで、自らが社長兼事業部長となり、毎日5件のアポイントを自らに課して、
まさしく率先垂範で推し進めていきました。
とても綺麗とは言えない狭い飲食店やコンビニの店舗内事務所で打合せすることもしばしばあったそうです。大企業の社長がそのような営業を自らが行うということで社員mに背中を見せたのです。
その甲斐もあってか、アルバイト就職情報部は4年後には、単体で40億の利益をあげる事業部に成長したそうです。