少子化対策で思うこと
私は現在52才、独身の非正規労働者である。
見てくれは普通だし、大変おこがましいが昔は「彼女いそう(笑)」などと言われたこともある。
しかし、すでにオールドミスならぬ、オールドミスターである。結婚できる見込みはほとんどない。できたとしても子供が20才になるころは私は72才!である。
悲しいものだ。
大学を出たにもかかわらず、田舎に帰り手取り10数万の安い企業ばかりの転職活動に翻弄され、彼女を作っても仕事が続かなくて別れたり、無職になれば社保も未来もない短期間の人材派遣で糊口をしのぐ…
親がいなければ露頭に迷っていたような人生である。
自分の溜飲を下げるために「人生に無駄はない」などと言ってみたところで、現実は何も変わらなかったのである。
今日、NHKの時論公論で政府の少子化対策予算について述べていた。医療福祉予算を削って少子化対策を12兆円に引き上げるという。
こういう無茶な財政をするほど、国庫に金はないらしい。
投資運用しても、利益が赤字国債の補填に行ってしまい、原資が増えないというからヒドいものだ。
諸外国に何千億とやる金はあるのに、全くワケがわからない。
少子化対策予算とは、主に子育て支援や教育無償化だと思われるが、我々団塊ジュニア世代が中高年に差し掛かってきたので、またもや、我々ではなく、今の若者が対象なのだろう。
バブル崩壊以降、本当に我々の世代は恩恵を受けることのない世代だなあと思う。
親の世代、我々の世代と老人大国ニッポンがあと30年は続く、知り合いの介護福祉士は夜勤が多く、認知症相手の重労働なのに給料が安いと嘆く。
我々、中高年独身は基本的に結婚はあきらめている、老境となりつつある。
それゆえ、少子化対策よりも、人出不足でニッチもサッチもいかなくなっている福祉政策の予算を増やしてほしいと思う。
人員不足では職員は疲弊し、虐待事件もますます増加するだろう。
急務である。
一方、ニュースでは毎日のように高齢親子のいたたまれない事件が起きている。介護休業制度などは限定的で、単なる施設入所の支度期間である。自分とて「明日は我が身」と戦々恐々である。
「超高齢社会」の混乱は既にはじまっていることを政府は自覚すべきである。
昔、あれほどもてはやされた長寿大国ニッポンの弊害がドンドン表面化しているのを恐ろしいほど感じる。
赤字国債でバンバン金を刷れるなら、少子化対策も賃金引上げも、本来は我々の世代で実施すべきだったのだ!20年遅い!
さて、少子化対策の最大の問題点だが、そもそも男女が出会って、結婚に至らなければ、子供はできない。
昭和時代は、「おせっかいおばさん」が婚期の若者の見合いを斡旋し、「職場の上司」も部下に声をかけ、仲人になったりしたものだから、言葉は悪いが、少々ルックスや経済力に問題があっても結婚自体は実現しやすかったと思う。
まあ、「知らないウチに結婚させられていた」という、私の母のケースは論外だが、団塊世代というのは「いざなぎ景気」の中で、恋愛結婚も見合い結婚も半々ぐらいの時代であり、「家を絶やすな」という考えも強く、「結婚」そのものは増加する条件はそろっていたと思う。
現在の我々の男女の出会い環境というのは、ざっくり言えば「サクラばっかしのマッチングアプリ(笑)」、「高額ボッタクリの結婚相談所(笑)」といったロクでもないもので、ルックス、経済力、コミュ力に自信のない者は、自力ではなかなか恋愛、結婚にたどり着けない時代になってしまった。
第一次ベビーブーム、第二次ベビーブームが来て、第三次は来なかったと言われる。
我々のことである。
女性の自立は良いとしても、「シングルマザー」や「おひとりさま」をテレビや雑誌でもてはやすなど、少子化の原因となった男女分断プロパガンダは本当にひどかったと今は感じる。
この人口抑制政策は、資源対策だの、食料管理だのいろいろ理由があるらしいことは最近知った。
もし、日本を1970〜80年代頃の国力、治安を復活させるならば、外国人技能実習制度派遣労働制度は廃止し、今の日本の若者を大事にして、20年でも30年でも地道に「人口増加政策」をやるべきだと思う。
私はもはや、老いてゆくのみだが、死ぬ前には衰退する日本ではなく、復活してゆく日本を眺めていたいものだ。
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