year of the white rabbit
俺がパンクより前に好きだったのは映画で、特に戦争映画が世の中で流行ってたし好きだった。時代的にニューシネマが終わって、行かなかったぼんぼんの厭世気分から、アメリカ負けてばっかやないで、さっさと次の戦争行こうやという共和党資本の映画が始まる前の間に、ベトナム戦争総括ブームというのがあった。10年くらいかけて総括してなんかじわじわガッツ溢れるタフな米軍って映画にシフトしていった。ベトナム戦争の映画のサントラには大体当時のロックが使われてて、みんな地獄の黙示録のジ・エンドみたいな事をやりたかったんだろうな、ウエストコーストをBGMに使ってて。まあ、実際に兵隊の間でも流行ってたのかな。そんなんよく耳にした。
で、パンク。の後。悪友の今屋敷という奴と矢野というやつと齋藤てやつがいて、そいつらと一緒にパンクの次の面白い音楽を貪欲に探してた。今屋敷とは60年代のビートグループとジミヘン、矢野とはニューウェーブとプログレ、齋藤とは英米の新しいバンドとヴェルヴェッなんかの情報交換をした。俺はドアーズとジェファーソンエアプレインをよく聴いてた。それはあのベトナム戦争映画でかかってたからだな、多分。
ジェファーソンエアプレーンはめちゃくちゃ好きだったかっていうと、実はそれほどでもなくて、バラエティに富んでるから、まあとっ散らかってて印象が薄い。要はリーダーがいっぱいいるセッションバンドでみんなコンポーザー気質なのが如実に出てる。メンバーの入れ替えも激しく、ウエストコーストネットワークみたいなところがあって、ジェファーソンから遡っていくと源流はやっぱりセッションバンドで、それぞれ発展して、クイックシルバーメッセンジャーサービス、グレイトフル・デッド、バーズになった。またジェファーソンから枝分かれしてホットツナになった。ホットツナはまじで好きになったな。じゃあジェファーソンはというと好きな曲は2、3曲です。2、3曲しかないけど、そのうちの1曲はウエストコーストのバンドの曲の中で1番好きかな。
不思議の国のアリスの話をドラックに準えて、というかアリスの話を歌ってるだけ。何も意味が無い(本当の事は知らないよ?憶測です。英語わからんからね)。反戦的な歌詞なと一切無い。ニューヨークのプロテストフォークに対して、日本のカレッジフォークみたいな割とノンポリ気質なカリフォルニアのフォークから出て来た人だからか、フラワームーブメントの象徴って言っても本質はそんなもんだったんだろうか?そんなもんか。暗くてかっこいい曲でグレイススリックの声がとても合ってる。さすが自作自演、自分の魅力をよくわかってらっしゃる。
さて、そのホワイトラビットをイギリスの大好きなパンクバンドがカバーしてる。The Damnedだ。ダムドはマシンガンエチケットからキャプテン主導のサイケプログレ路線に舵を切り始め、ブリティッシュポップの美味しいところが全部入ってきて、さらにアメリカのサイケデリックへの憧憬がどんどん膨らんで、ナズノーマッドアンドナイトメアーズで頂点を極める。あ、違った、ナズノーマッドは別人でした。それからデイヴ主導のゴシックの割合がだんだん増えてきて、ゴスの王様へシフトしていく、まあ過渡期の入口でこのホワイトラビットがカバーされる訳だが、クラッシュがアメリカのバンドのカバーをするなら、弱者が法を犯してなお負ける、みたいな曲をやるわけで、また、ピストルズがアメリカのバンドをカバーするなら、全然楽しくねえぜ、みたいな曲をやるわけで、パンクとはこうあるべし、ていう旧左翼の革命家みたいなジョーストラマーと、個人主義で己の立ってる位置から納得いかないものに左も右もなく怒ってる愉快な人ジョニーロットンと、如実にスタンスが表れてる。ではダムドはどうか。ダムドは何も無い。ただエネルギーを爆発させるバンド。だから1番暴力的であり愉快であり音楽的であるのでこんな意味のない物語の曲を朗々と歌い上げて、ゴスという言葉がまだ出てくる以前、ポジパンより前のこの頃は、こういう音楽をネオサイケとかダークサイケとか言ってたのかな。まあそんなジャンルを余裕で超えるくらいダムドで、ゴスよりゴスで、本家より(失礼)段違いにかっこいいのてある。
閑話休題
なんか干支に関連したデザインを毎年作ったらどうか?みたいな企画が出て、じゃあホワイトラビットだなとなった。不思議の国のアリスはもうパブリックドメインになっててそのまま使用しても問題なかったんだけど、どうしてもダムドの方がやりたくて、うさぎといえばthis is your captain speakingなのでキャプテンにしようかと思ったけど、もうAが前に一回やってるし、デイヴにしてみようと黒い燕尾を着せたらcat shit oneのようになってしまったので、今回もまた白根画伯にご登場頂いた。時期は本当は違うんだけどゴス期のフリフリマシマシでお願いしたらすごく可愛くなって、ちゃんと目の周りも黒くしてもらった。あと原作はハートの女王の使いなんだけど、ラッパのフラッグはスペードにしてもらった。Ace of spade。
今回はちょっとアイデアがあって、と智絵さんに話したら盛り上がってしまい、発売後にちょっと面白い企画をやろうと思ってます。出来上がってのお楽しみ。
それから、できれば近いうちに全カタログ
っても4種類だけど、再発します。お買い逃しの方、この機会にどうぞお見逃しなく。
それではご予約受付までしばしお待ちを!