見出し画像

「手帳」の迷宮

日本における手帳の現状

日本では「手帳」に対する関心が高く、さまざまな形式の手帳が販売されています。しかし、「手帳」というものの定義が曖昧で、消費者が手帳に求めるものとメーカーが供給するものの間にズレが生じているように感じます。手帳の機能として、スケジュール管理、メモ、タスク管理、日記などが挙げられますが、それが自分の仕事や生活、求めるものに合っていないことが一つの原因です。

手帳の起源と形式

手帳というものの、起源を考えれば持ち運びが可能な小冊子形式のノートであったと思われます。企業が発行する手帳、警察手帳、学生手帳など、これらの共通点はハンディサイズのものであることです。手帳はその携帯性から、さまざまな用途に応じて進化してきました。ところが、現在では、サイズで言えば、様々な大きさの手帳が存在します。中には持ち運びにも躊躇するようなA5サイズの「手帳」まで存在します。このサイズの変化が手帳の定義をさらに複雑化している要因の一つであると思います。

手帳の使用における課題

手帳を使いこなせない、手帳に書くことがないというのは、「手帳」に問題があるのではなく、利用者が手帳に何を求めるかが明確になっていないことが原因の一つではないでしょうか。「手帳」はあくまで手段であり、現在では紙の手帳だけではなく、手帳機能をスマホのアプリが果たす役割も増えてきました。スマホアプリが普及した現代において、紙の手帳に何を求めるかは、スマホと紙手帳の併存、使い分けなどにより以前とは異なるものになると思われます。

手帳の定義と利用方法の再考

手帳を使う前に、何を手帳に記すべきか、手帳に何を求めるのかを明確にし、それに合ったものを選ぶことが重要です。しかし、既存の手帳メーカーが販売している「手帳」の枠内にそれを収めることには限界があるかもしれません。日記やログとしての「手帳」は、広義の手帳ではなく、ノートや日記と言うべきであると思われます。

混乱の原因は、「手帳」という言葉に問題があり、「手帳」という言葉の持つイメージが一様ではないことにあります。また、「手帳の使い方」という出版物も数多く存在し、その書籍における「手帳」の定義も曖昧で、とは何か?この視点も重要です。「手帳」というものを定義し、その利用方法について議論する必要があります。小さなノートに日記を書いたり、絵を描いたりすることを「手帳」と呼び、別の目的を「手帳」に期待している人々にとっては的外れな物となるでしょう。

つまり、手帳というカテゴリーの下には機能、目的ごとに手帳といわれる物が存在し、そのサブのカテゴリーには個々に名前があるわけではなく、まとめて手帳という言葉に置き換えられてしまうために、定義が曖昧になっています。

小さな紙のノートに様々な目的を求めたものを「手帳」と呼ぶことの不思議さに気づく必要はあるのではないでしょうか。海外では「手帳」という言葉にあたる言葉はなく、メモやハンディノートを指し、日本のように、手帳と一括りにはせず、プランナー、スケジューラー、オーガナイザー、という機能を主にして分類をしています。小さななノートに絵を描いても「手帳」と呼ぶ日本の現状は混沌としています。
スマホアプリなどのデジタルツールのさらなる普及で、「手帳」の定義もさらに変わっていくでしょう。

手帳に求める機能の多様化

「手帳」に日記や絵をカラフルに彩ることが目的化している人々と、「手帳」はあくまで手段であると考える人々の間では当然、「手帳」に対する認識が異なります。メーカーはさまざまな「手帳」を販売しているため、消費者は自分のニーズに合った「手帳」を選ぶことが難しいと感じることがあります。ほぼ日手帳やバレットジャーナル、フランクリン手帳などは多くのニーズに応えていますが、すべての消費者の要求を満たすことは難しいでしょう。

紙のノートの魅力とその深い感覚

手帳と言わず、敢えて、「紙のノート」と書きますが、紙のノートには物理的な魅力があります。ノートの質感やデザイン、紙の触り心地、インクが紙に染み込む感覚など、物理的な要素がノートの魅力を高めています。ノートを開くときの感触や、新しいページに書き込む瞬間の喜びは、デジタルツールでは味わえないものです。

さらに、紙のノートを覆うカバーとして使われる皮革の感触もまた、利用者を魅了する一つの要因です。高品質な革のカバーは、手に取ったときの感触や、持ち運びの際の喜びを高め、ノートをより愛着のあるものにします。

また、紙のノートは個人の創造性や個性を表現できるツールです。自分だけのレイアウトやデザインを作り上げる楽しさがあり、ノートを使うたびに自分らしさを再確認することができます。さらに、手書きで記録することで、思考が整理され、集中力が高まります。紙に書くことで、頭の中の考えが明確になる感覚があります。

紙のノートには日々の出来事や感情を記録することで、後から振り返った時にその時の気持ちや状況を鮮明に思い出すことができます。ノートは、過去の自分との対話を可能にし、人生の歩みを感じさせてくれます。また、ノートを使うことで、目標設定やタスク管理を行い、自己成長を促すことができます。ノートが成長のパートナーとなる感覚があり、自分の成長過程を見守る存在としてノートを大切に感じます。
さらに、スマホやパソコンでは得られない手書きの温かみや、人間らしい感覚が紙のノートにはあります。デジタルツールを補完する役割を果たし、ノートを使うことで心の安定や満足感を得ることができます。

混沌とした手帳業界の現状認識

混沌とした手帳業界の現状を認識し、私たち利用者は手帳に対して何を求めるのかを明確にすることが重要です。「手帳」に自分を合わせるのではなく、自分の目的に合った「手帳」を探すか、作ることが求められます。たすくの場合、既存の「手帳」はどれも合わず、100円のノートを「手帳」の目的に合わせて自作しています。リフィルの価格の高さも問題です。


結論

「手帳」の定義は混沌としているという事実を認識することが第一です。そして、「手帳」ではなく、自分は紙のノートに何を求めるのか、それが第二。その目的を達成できる機能を既存の販売している「手帳」が満たしているかを探すのが第三です。このプロセスを間違えると、「手帳」と言われる迷宮にハマることになります。「手帳」に自分を合わせるのではなく、自分の目的に合った紙のノートを探すか、作ることが必要です。さらに、「手帳」は利用者のニーズに応じてパーソナライズできるものであるべきであり、テクノロジーの進化を活用してデジタルとアナログの利点を組み合わせることが必要と思われます。

by たすく



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?