インドのチャリタクシー
ツイッターを見てふと思い出した。
1週間程度インドに行ったことがある。
まず、インドという国はカオスだ。
色んなことに惑わされる。気にいる人もいるだろうし、もう二度と行きたくねー!!という人もいるだろう。
おいらはどちらかというと後者だけど……。
何がカオスなのか、というと、なにかと騒がしい。
自己主張が強いのだ。
そして、だいたいのものはぼったくりである。
油断しているといつのまにか謎のショッピングモールに連れていかれるし、
オートリキシャー(バイクの後ろにカゴがついた、バイクタクシーのようなもの)に乗せてもらおうと
運転手と話していると、
突然別の業者が割り込んできて喧々諤々の言い争いが始まってしまう。
まさにカオスだ。
おっと、そんなインドのゴタゴタを書きたかったのではなかった。
話は、人力リキシャーの運転手とのやりとりの時だ。
人力リキシャーというのはオートリキシャーの人力版、
つまり、自転車でカゴを引く人力タクシーのことだ。
おいらは英語はよくわからない(そもそも、自国語すら怪しい)ので値段交渉は同行者にお任せだった。
そこで、人力リキシャーの運ちゃんと言い合いになった。
一応、基本的な英語くらいなら聞き取れる。
口論のきっかけは、おいら達が指定したルート通りに運ちゃんが走らなかったこと。
それを行って聞かせようとしたところ、「こっちの方が早い」「この道の方がいい」と人力リキシャーの運ちゃんがやり始めたのだ。
さすがインド人、こうなるともう譲らない。
自己主張と押しの強さはすさまじいものがあった。
話は平行線。
横で聞いていて、「こちらもそこまで意固地にならなくてもいいんじゃ?」とおもったけど、
熱心にインド人と議論をしている同行者に悪くて見守っていた。
がしかし、飽きた。
ただでさえインドは暑い。こんな中不毛な議論をしていると堪える。
ふと、一緒についてきた別の人力リキシャーの運ちゃんが目に入った。
こちらは6人程度の集団だったので、3台ほど一緒に走っていたのだが、
その運ちゃんも呆れた目でヒマそうに突っ立っていた。
これは意外だった。
好き好んで議論に突っ込んでくるかとおもっていたら、全てのインド人がそうでもなかったようだ。
話はまとまり(本当にまとまったのか怪しいが)、おいら達は寺院の観光で一度離れ、
元いた場所に待機していた人力リキシャーに乗り込んで、
地下鉄駅へと向かった。
それにしても、人力リキシャーの運ちゃんの操縦技術には恐れ入った。
狭くてどう見ても入っていけないだろう、という路地をスルスルと入っていき、
なんでもないようにゆったりとしたフォームで漕いでいる。
後ろには大人2人が乗っており、それなりに重いはずなのだが、
全く苦にしていなかった。
体もよく見ると、日に焼けていて痩身、それでいて大腿四頭筋をはじめとした筋肉群はしっかりとついている。
プロだなぁー、とおもった。
こういう職人気質な人がインドにもいるんだなーと。
思えば、自分たちのやり方に勝手に変えてしまったり、堂々とハッタリをかましてくるのは、
そういう自分たちのプライドが高いゆえのことなのかもしれない。
そういうところは、素直に尊敬してもいいのではないか。
……まあ、お前らもうちょっと人の話を聴けよな!!と思うけど。
インド人は、がめつい、ぼったくってくる、というイメージが強かったが、
みながみなそうでもないんだなとわかったエピソードだった。
やはり、実際に行ってみないと分からないことはある。
時間とお金が許す限り、どんどん出かけて経験していくことが、大切なんだとおもった。
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