へんな話
会話の中でときどき「へんな話・・」と言って、話題をつないだり、発展させたりする人がいます。多くの場合、別に変な話ではないのに、なぜか切り出し方が「へんな話・・」から始まります。
店員「何をお探しでしょうか?」
お客「エアコンの調子が悪いので買いに来たんんだけど、どれを買えばいいのかわからなくて。」
店員「お部屋の広さはどれくらいですか?」
お客「16畳です。」
店員「なるほど、では18畳用が良いと思います。へんな話、夏は14畳用でもなんとかなりますが、冬は14畳用ではなかなか温まりませんから。」
この場合、別に「へんな話」じゃなくてもいいのに、なぜか「へんな話」を使っています。結論のあとに理由を説明しているので、この文脈からいくと、「なぜなら」や「というのも」といった接続語の方が良さそうです。
お客「じゃあ18畳用ね。どの辺がオススメかしら?」
店員「そうですね~。富士通ゼネラルの『nocria』などいかがでしょう?私ならこちらの省エネタイプをお薦めします。へんな話、省エネタイプとそうでないタイプでは、電気代が年間で2万円も違ってきます。10年で新しいのが替えちゃえます。お値段はお高めですが充分元が取れます。」
再び「へんな話」が使われましたが、今回もまた推薦している根拠があとに続いています。さっきと同じく「へんな話」の登場の場面ではない気がします。
お客「へえ~、電気代ってそんなに違うのね。でもいい値段するわね~。」
店員「よろしければ、お見積りさせて頂きます。取り付け料はお値引きできませんが、へんな話、こちらの商品でしたら私どものオリジナル商品ですので、どこよりもお安い価格となっています。」
お客「そうなの?」
店員「それから、へんな話、今ならキャンペーンでポイントが20倍付きますので、このチャンスを逃す手は無いと思います。私が知る限り、こんなお買い得なチャンスは滅多にないです。」
立て続けに「へんな話」が2回登場しました。もしかしたらこの人、「へんな話」の達人かもしれません。笑
ちなみに、今回の「へんな話」は、どことなく小声で話しそうな若干の後ろめたさを感じます。本心としては他の店よりも自分の店で買ってもらいたいので、「変な意味ではないですが」的なニュアンスが感じられます。なんとなく、この言葉の語源のような気もします。
また「へんな話」を使う人は、とにかくこの言葉を多用する傾向にあり、ちょっとした会話の中で7回も使った人もいたほどです。この店員さんも、たった数回のやりとりの中で、「へんな話」を4回も使いました。
私が「へんな話」を気になりだしたのは20年くらい前のことですが、この20年の経験をもとに、一つの仮説を立ててみました。
「へんな話」を使う人は二枚舌である。
もしも皆さんの周りに「へんな話」を多用する人がいたら、へんな話、その人の言葉には気を付けた方が良いでしょう・・・ん?
以上、「へんな話」でした。もとい、「へんな話」の話でした。