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運動会「砂漠の嵐」作戦

2014年5月の出来事です。

何も無ければ5月は「運動会」の時期ですが、今年は新型コロナの影響でほとんどが中止や延期みたいですね。学校が休校だから当然といえば当然なのですが。

私の子どもの頃は、運動会といえば秋に実施するものだったので、春よりも秋に実施する方がしっくりきますが、近年では5月に実施する学校の方が増えてきているとのことです。

春に実施するようになってきた理由としては、以下のようなことがあげられます。

・残暑の熱中症対策のため
・台風の影響で雨が多いため
・秋は行事が多く春に分散させるため
・受験勉強対策のため
・クラスの親睦を深めるため

なるほど、言われてみれば確かに春に実施する方が理に適っている気もします。

そういった事情に加え、コロナ休校が続く中、秋に延期して大丈夫なのか?ちょっと心配ですね。親としては、楽しみな学校行事のひとつでもあるので、できればやって欲しいと思いますね。


さて、そんな運動会における「親ならではの苦労話」をひとつ話したいと思います。

娘が中3のときの話です。
最後の運動会ということで、単身生活の東京から久しぶりに福岡の自宅に帰りました。

これでもう、早朝の運動会の場所取りをしなくても良いかと思うと、嬉しくもあり淋しくもあり。のちに淋しさ>(大なり)に気付くことでしょう。

(結果的に、淋しさよりも場所取りからの解放が勝りましたがw)


運動会の場所取りは2つの拠点に分かれます。一つは、校庭の隅っこの木陰あたりに、ゆっくりとランチを食べる本部基地の設置。もう一つは、出し物がよく見える校庭のトラック周囲に設置する前線基地です。

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近頃では木陰を選ばなくても、まるでキャンプに来たような大きなメッシュテントやタープを立ててしまう人も居ますが、我が家は木陰のちょっとしたところで充分でした。基本的にはお昼休み以外は、過酷な炎天下の前線基地に駐留しますので。

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場所取りでちょっと面倒なのは、前線基地のレジャーシートを張るのに、風で飛ばないための重しを何で代用するか?です。昔だったら、校庭の隅に落ちている手頃な石を拾って来て、ポンと置けばそれで済みましたが、最近の学校は整備されていて、重しになるような手頃な石とか落ちてないんですよね~。

重しの代用としてよく見掛けるのが、水が入ったペットボトルと月マガ(月刊少年マガジン)のような厚手の雑誌です。

雑誌は持って来るのも持って帰るのも重くて大変です。また最新号だと読みたくなってしまうので、あまりオススメできません。

一方ペットボトルは、空で持って来て校庭にある水飲み場で水を入れれば簡単に重しになり、帰りには水を捨てて軽くして持ち帰れるため、もっとも効率の良い方法と思われています。ただ、ペットボトルは重量を軽くすることはできますが、体積的にはまあまあのスペースを必要とするため、持ち運びには適さないという欠点があります。


そんな中、私が毎年実施していた「学校の砂を利用した重し」は、ペットボトルよりさらに運搬の手間が要らない超便利な手法です。

その手法とは、スーパーで新鮮な食材を入れるときに使う薄手の半透明なビニール袋を、レジャーシートの角の個数分だけ持って行き、校庭の砂場の砂を少々お借りして、持ってきたビニール袋に詰めるという方法です。まあ言ってみれば、ポケット土嚢(どのう)を作るようなものです。

ペットボトルのように嵩張ることが無く、畳めばポケットに入ってしまい、ほぼ手ぶらに近い状態で運べます。帰りも中の砂を砂場に返してしまえば、ビニール袋は再びポケットサイズに戻ります。

ビニール袋の砂の重しは機能としても優秀で、小さいながらもどっしりと座り、強く吹く風にもほとんど影響を受けることがありません。一方、ペットボトルの方はその形状が禍して、水を入れて重くしたとしてもコロコロと転がることがあり、意外と不安定です。運搬・機能どれをとっても、軍配はポケット土嚢に上がります。

このように、学校の砂を利用した重しは、場所取りには欠かせない作戦として、我が家ではもう何年も続けて来ました。


もちろんこの年も、これで最期の砂詰めになるな~と思いながら、いつものように陸上部の走り幅跳び用の砂場の砂を、小分けのビニール袋にいくつも詰め込み、作っては運び作っては運び、レジャーシートの角に着実に配置していたところ、それを見ていた見知らぬ主婦から、声を掛けられました。

「おはようございます!ナイスアイディアですね。」

「えっ?ああ、はい、ありがとうございます。」


実はこの完璧とも思われたポケット土嚢作戦には、唯一の欠点がありました。それは「砂場の砂を学校に許可なく勝手に借りている」という点です。正直なところ、早朝の誰も居ない時だからこそできますが、大勢の人が居る前だとひじょうにやりづらい行為なのです。

そこへ来て「ナイスアイディアですね」と賞賛されたところで、素直に喜べるわけもなく、苦笑いで返すのがやっとというところです。

というのもこの朝は、ポケット土嚢を作ってはせっせと運んでいる私のことを、場所取りのルール違反が無いように監視していた女性教員が

「それアウトじゃないかしら?」

と言わんばかりの疑惑の眼で、さっきからずっと私のことをジロジロ見ていたからです。


彼女(見知らぬ主婦)はその状況を知らないもんだから、彼女なりの褒め言葉を投げ掛けて来ますが、こっちとしては無許可で砂を借りてることに後ろめたさこのうえなく、ナイスアイディアどころか、さっさと済ませて立ち去りたい状況なのです。出来ることならそのことには触れて欲しくありません。

「ちょっと奥さん、空気読んでくださいよ。」


しかし、五月晴れの爽やかな朝の空気に、そんな事情が潜んでいることなど、いったい誰が読めるでしょう?(いや、誰も読めない)

私としては、皆がこれをやり出したら、学校から「砂場の砂を勝手に持ち出すことを禁止とします!」という御触れが出ることを何よりも恐れており、既に何組かのファミリーに波及しつつあることから、それも時間の問題のような気がしてなりません。だからあの主婦がこの事実を「すご技紹介!」とか言って、ブログやTwitterで拡散されるとひじょうに困るわけで、願わくばそっとしておいて欲しいと思うのです。

そう言いながらも、当時、自らのFacebookでこの話を掲載しちゃいました..。なぜなら、うちの子、この年で卒業でしたので。m(_ _)m


ちなみに、砂場の砂詰めポケット土嚢作戦は、幼稚園の頃からやっていて、家庭内でのコードネームは「砂漠の嵐」でした。(※湾岸戦争とは関係ありません)

借りた砂は、毎回きちんと元の場所に戻してましたよ~

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