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こじろうとの対話

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こじろうは一年も経つと大きくなり、立派な中型犬になった。犬種はおそらく雑種。ラブラードールレトリバーと柴犬の中間にあるような姿である。まあまあデカいから、玄関の裏側にある庭に小屋を建てた。

小学4年生になった私は、こじろうと関われる時間が減った。小1から続けているサッカーの活動が活発になったからだ。一緒に散歩できるのは週に一度ほど。サッカーの練習がない平日の夕方か、土日の帰宅時間が早い日だけだった。あまりにも遊べないものだから、外出時と帰宅時に、庭に寄るようにしていた。帰宅時なんかは裏庭で匂いを嗅ぎつけて"クウンクウン"言い出すもんだから可愛くて仕方がない。たまらなくかわいいのだ。

こじろうは本当に相棒だ。
お互い元気な時なんかは、近くの広場で走り回ってから帰った。特に冬なんて最高だった。こじろうは雪が好きだ。2、30cm積もった雪の上を駆け回る。某民謡の歌詞、あれはホンモノだ。一方で私に元気がない時、こじろうは歩くペースを落としてくれる。そして時々、私の顔を伺うことなんかもしてくる。私は自分に元気がないことにあまり気がつかない。「元気なんて、やる気なんてあろうがなかろうがやるもんはやる。」「毎日の1時間や2時間をどう能力向上につなげるか。」そんなことばかりを考えていたせいだろう。
こじろうはそれに気づかせてくれる。
"元気がないよ、考えてばかりはやめて周りの音、風を感じようよ。"
こじろうと私は言葉がなくとも対話していた。

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