【隅田川詩】奇妙な抜け殻
朝の隅田川
階段の上に 脱ぎ捨てられたジーンズ
脱皮したよう 抜け殻のよう
さっきまで着ていた人物の体形が 残るふくらみ
そばに 黒色のスニーカーがそろって置かれる
川べりまで10メートルもない
ジーンズとスニーカーという皮を脱ぎ
男(たぶん)は そのまま水に入った―
そうとしか思えない
警察消防の捜索ボートも見かけず
川面を見る人もおらず
ぼくは そのままそこから走り去った
2日後の朝
階段そばのフェンスに
ジーンズがかけられ スニーカーと靴下があった
ぼくは所轄の蔵前警察に 通報した