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■外国人に負けていられない
「詩集」を読んで アーサー・ビナード(3)
図書館、詩集の棚に並んでいた1冊。
「日本の名詩、英語でおどる」(2007年12月刊、みすず書房、3080円)。
14年も前に出た本だが、最近重版したものがあったので、読んだ。
萩原朔太郎、茨木のり子、中原中也、小熊秀雄、与謝野晶子、高村光太郎、室生犀星…。詩人26人の名作の原作と英訳を対訳で紹介し、コメントを添え、その魅力を語る。『MAINICHI WEEKLY』連載を書籍化したものだ(図書館のデータベースより)。
著者のアーサー・ビナードは名前くらいしか知らない。自身も詩を書き、絵本なども多数出しているようだが、彼の本を手にして読むのは初めて。
この本には彼の英訳詩が併記されており、正確には詩集とはいえない。だが、日本語を使わない外国人が、日本の詩をどうとらえているのか、その視点が知りたくて読んだ。
それぞれに詩人の来歴やきれいなイラストなどもあしらわれ、なかなかきれいな本。しかし、3000円は自分には出せない金額だな。
それでも、小熊英雄なんて、詩歴1年の僕には初耳の詩人も何人かおり、結構タメになった。
その中で、菅原克己(これまた初耳の詩人)の「小さなとものり」という、詩人の子に向けてつづった詩について、ビナードは、
「難しいことを、透明度の高い言葉でやさしく表現する―菅原克己の詩はそのひとつの手本」と説明している。
そう、それ!
難しいことを、透明度の高い言葉でやさしく表現する
詩に限らないが、人に伝えることのキモがこれなのだ。
そういうことを、外国人に指摘されて、なるほど、と思った次第だ。