「公園にて」
冬の東京は 空がきれいですね
―あなたは言う
よく見てください
ビルが山みたいに連なって
空との際が稜線みたいで
その線のあたりは白っぽいんだけど
すーっと上に目をやると
青空
濃いあおい空 きれいな空が見えるじゃないですか
―ぼくはあなたの言葉に肯きながら 黙って聞く
空のきれいな日には
何かしらなにかしら なぜかしら
ちょっと悲しい気持ちになっちゃって
―それは どういうこと? ぼくは その問いを飲み込む
空が明るくて 青くって
きれいであればあるほど
何だかね なんだかね
うん…
―それは ぼくも分かる 同じだ
目の下の公園には その地中に
今も埋葬された人たちが
眠っているんだもの
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