ぼくは新宿を歩く
地下鉄を新宿三丁目で下り
地上に出て 靖国通りを東口に向かう
人の波 波にまぎれて漂っていく
この街を初めて歩いたのは44年前
どこを歩いているのかもわからなかった
東京はどこもかしこも
毎日がお祭りで
人の流れは 切れ間がない
その代表たる街 新宿
ぼくが新宿を歩いているということは
彼や 彼女 ほかの誰かも
同じ街を歩いているのかもしれぬ
あの人に会うことはあるのか この街で
会うことがあれば 会釈くらいはするだろか
いや
東京では誰に会っても
他人の顔
他人の顔をしておればよい
本当に会いたい人は
きっと別なところで息をしている