「突破せよ」
カンコンカンコン
警報が鳴り始める
ウィーンとモーター音がして
遮断機が下りてくる
突破せよ 踏切を突破せよ
突破するのだ 突っ込むのだ
突っ込め―
ぼくは思う 思うだけだ
ここで1分2分を待ちたくない
突破するのだ 突破するのだ
心が叫び
ペダルをこぐ足に力を入れる
目の前でバーが下りきる
キキーッ
ブレーキをかけざるを得ない
ぼくは結局
大人しくおとなしく
他の車バイク自転車歩行者の
行列どもと一緒に
電車の通過を待つ
1両2両3両…
だいたいが6両編成 8両のこともたまにあるが 滅多にお目にかからない
この大踏切 何年かのうちに高架化され
いずれは消える
カンカンカンカン
警報音との勝負は いずれなくなる
その前に
ぼくは 突破しようなどという元気もなくなるだろう
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