「悪いふたり」
雨上がり 空は晴れ渡ることはなく 少し雨雲が垂れこめ
まだ降る 予感
夏の暑さを追いやってくれた雨 ただ 空気は湿り
オフィス街に 静かな空気 日差しのない 昼下がり
高層ビル立ち並ぶ その谷間
男
と
女が
木陰で こそこそ 何やら なにやら
あたり はばかるよう
女が男に何かを手渡す
それを受け取る男 口元に持っていく
電子タバコを2人で 回し飲み
こそこそ こそこそ
若い男
と
若い女
秘め事のよう
女がひと吸いした
煙の立たない電子タバコ
それを自然に 男が受け取る
同じ吸い口を ためらうことなく自分の口にあて
ひと吸い する
女はチラチラ
と
周りに視線を送る
ここは 東京・大手町
高層の真新しいビル群 ほとんどに 大手企業有名企業が入る
ビルの 谷間
夏の雨が ちょっと上がった間
こそこそ こそこそ
あたりを はばかる行為 繰り返す
男も
女も
紺色のスーツ姿
就活中の学生に 見えなくもないが
女は明るいグレーのヒール
ちと 就活生らしからぬ
いずれにせよ
ビジネスエリート
ビジネスエリートの ふりするよな
男女が 歩く街
そこに ふさわしくない2人組
校舎裏で 隠れてタバコを吸うよな
不良高校生みたい
この街に ふさわしくない
男
と
女
彼と彼女
自分たちに不釣り合いな この街
居心地の悪さに
雨上がりの木陰
ちょっとした 悪さ
大手町で長く働き
そこに 不釣り合いだった オッチャンは
だから
お前らを見て
苦笑い した
※「お前ら男女に苦笑い」改題
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