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■水沢なお…ちょっとキニナル

「詩集」を読んで (20) 不定期刊

◇三角みづ紀
オウバアキル 思潮社 2004年10月刊

内容
「現実はこんなに過酷で残酷なのに、ぼくたちはなんでこんなに幸福なのだろう-。心の傷口から雫れ落ちる痛みが、コトバの最涯で結晶化する。現代詩手帖賞詩人の処女詩集。」

(図書館データより)

ぼくの感想


筆者はこの処女詩集の出版時には23歳。04年第42回現代詩手帖賞を受賞、第10回中原中也賞受賞。
その後、14年に、第5詩集「隣人のいない部屋」で第22回萩原朔太郎賞を最年少受賞…と華々しい詩歴を誇る。
僕はこの詩集で、初めてこの詩人を知った。
精神科への通院歴があることなども詩の材料にとっており、そうした作品もいくつかある。
まあ、あんまりおもしろくも共感することもないかな、という感じ。40歳を過ぎた彼女が今どんな詩を書いているのか。
当時は20代初めの「みずみずしさ」が評価されたのか…よくわからない。
処女詩集ということもあってか、「あとがき」に「大丈夫、私は元気です。」などと、余計なことが書いてあったりするのもあまり気に入らない。
図書館には他にも何冊か、この詩作家の詩集があるので改めて読んではみたい、と思う。

◇水沢なお
美しいからだよ 思潮社 2019年11月刊


内容
朝起きて、できることといえば、祈ることしかない。砂の中にいるという君のために、ぼくは世界中の砂地を巡るのに必死なのです。(「シェヘラザード」より) 会話体の詩行を多く含む詩集。

同前


ぼくの感想


16年に19歳で第54回現代詩手帖賞を受賞。19年刊行のこの処女詩集で第25回中原中也賞受賞…という詩歴の方。
このところ、中也賞やら現代詩手帖賞受賞作を読み進めているが、その過程で出合った詩集のひとつである。その中でも、なかなかよかった。みずみずしい感性があり、ちょっとエッチなのがよい。わけの分からない部分…というより、この人が夢として浮かぶ様子、情景を描いている。ぼくの頭の中でも、ぼくなりにその像が結べている―つまり、作者の詩をある程度理解できる。その点では引き寄せられる詩文と感じた。

「オウバアキル」と並んでいるなら、こちらを買う(借りて読んでるけど)。

水沢なおさん。まだ若く、単著もこの詩集くらいなのに、中也賞を受けているだけあってか、Wikipediaにも細かくあれこれ書かれている。
詩人マニアとかがいて、書き込んでいるのか。それとも思潮社の編集者か…(笑)。
今後も、注視したい(ちょっと美人だし)、と今のところ思っている詩人。忘れるかもしれんが。

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