「見守る」
頼ってほしい
困ったとき 迷ったとき
この親を頼ってほしい
いくらでも 子には手を貸す
だが 子は
助けてくれ
と
手を伸ばしてこない
悩みや葛藤
それが あるのか ないのか
言葉に出さない
だが 態度でそれはわかる
親だもの 胸がふさがる
その気持ちがある それがわかる
子は それでも
自分で何とか
道は拓くものだ――
そう思っている
何も言わない 何も尋ねてこない
仕事だろうが 恋愛だろうが
他人から あれこれ言われ
指し示された方へ行けば
楽だ
確かに 言われたとおり
動くのは
楽だ
失敗も少ない
言われたことをやるだけ
それなら自分の責任は軽い
言われたことを唯々諾々と
やってきただけの親
その背から
何事かを感じ取ったか
他人に頼らず
願いを成し遂げる――
心ひそかに誓っているか
それはわからぬ
言葉にしないのだから
自分の脚で立つことのおぼつかなさ
その姿を
柱の陰から見ていよう
そんな自分が歯がゆい
だが
結局は
道を拓くのは 自分だけ
その気持ち その意気で
進んでくれ
息子よ