「そこの　風」

風が　ひと吹き
　ひと吹きの風　一陣の風
ぴゅー　ぶわー　ぶぉー　ぶぉー　ぶぉー
がー　ごー　ぐーん　ぴー　ぴゅー　くーん
こーん　ひゅー　ひゅー　ばっ　ふーーん

僕の周りの　塵　芥
と
一緒くたに　吹き飛ばせ
　そして
よい風となって　僕の背中を
押して　おして　オシテ

気づいたら　目の前
　目の前に
おいしい　おいしそうな
ごちそうが　ズララ
と
並んでる
なんてこと　ないか…

ほおにあたる程度の　そよ風　やわ風
　音もしない　
凪いだ海の上では　船も進まぬ
耳を澄ませても　風音は聞こえぬ

風に押し出されたわけでもないのに
景色が変わった

目の前には
まずそうなものが　ズララ
並んでて　思惑違いもいいところ
手も出したくない　またぎたい　くらい

生きるため　まだ生きるため
命をつなぎ　家を支える役割が
ちょっとは残る運命ならば
　まずいものでも
手を伸ばし
口に入れて　体を動かす　それしかないンだな

これも　これまでと同じ　日常の延長

人生に吹く
都合のよい風なんて
なかったンだ