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「ふるさと遠く」

古書店街の角っこ 確か前は
町中華…たこ焼きだったか 理髪店だったか
そんな店があったところ
故郷の老舗和菓子屋ができていた
都内のデパ地下にも入る店なので
路面店があってもおかしくはないが
ここは古書店街
大手町、お茶の水にはちょっと遠い
オフィス街 繁華街ともちょっと違う
そんなところに地方の和菓子屋 東京店

地元 神田には老舗から普段使いまで菓子屋はいくつかあるというのに
対抗しようというのか

考えながら 店の前を行ったり来たり
入る気にはなれない

ふるさとは遠きにありて思ふもの
そして悲しく歌ふもの

何度 ふるさと思って涙ぐんだやら…

郷里の文豪の詩が頭に浮かんで消える

帰りたい でも帰れないまま
年を重ね かさね かさねがさねの日々

そろそろ ふるさとの菓子屋には 氷室まんじゅうが並ぶ

七月一日 氷室の日まであと少し
そのころ この店に入ってみよう

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