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【写真詩】「曳船」
いつもの景色 いつもの隅田川を見る
久しぶりに本格的な雨が降り
それが上がった朝―
なのに
空は厚い雲に覆われうす暗い
台船が曳かれ 上流にゆっくりと向かう
川に波紋がひろがる
ゆっくりとゆっくりと
しばらくぼくはそれをながめる
きょうは何をしようか
考えてみる
仕事を探しに行かなきゃ
ハローワークだ
健康保険の切り替えをしなきゃ
区役所の支所に行くのだ
きょうのうちに ぼくはそれをやるだろうか
急ぐ話ではない どれもこれも
音もたてずに進む船のように
ただ曳かれてゆけばよいのだ
ぼくも あなたも みんなも
それが楽な生き方じゃないか
ゆったりとゆったりと 川は流れる