「おにぎりとバトル」

カルチャーセンターのロビー
現代詩実作講座が始まる間
海苔のにおい 強いにおいが立つ
海苔 のり ノリ
おにぎりの 海苔

コンビニのおにぎり こんなに海苔のにおいがしたものか

見れば 中年というより老境に入ったような男が 箸をおにぎりに立てて格闘している
あなたが取っ組み合うのは
海苔に包まれたおにぎりなのですか?
ぼくは言葉に出すことはせず 自分の顔にそれを刻みながら
男の手元を見た
おにぎりに箸を立てて食べる男
よくよく見ると ラップに海苔と白米 そして何やらおかずを一体化させた「自家製」 コンビニおにぎりではない
こんなところで そんなものを持ち込み お食事ですか?
もう夕方で腹が空いてるんで…

男のつぶやきが聞こえてきそう
それはまあ 分かりますが
においが 結構ロビーにたちこめてます
自家製の弁当を老境にあるあなたが食べている
いや
自家製おにぎりと
海苔と箸でバトルしているみたいで
ちょっと 妙です
海苔のにおいが強いので
ぼくにはどうにも気になって…

でも
もっと言うと
あなたが書き綴る詩の真意を
何となく 分かりました。


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