見出し画像

「笑うロボコップ」

都営アパートと私鉄の高架にはさまれた小公園
上を電車が走り 子供がブランコに歓声を上げ 自転車のチェーンは油切れ 原付バイクは逃げ出す
それらが発する音 おと
それらが拡散せず コンクリートの谷間に流れ込み 谺となる
向こうからメガネをかけたロボコップ
笑みをたたえて ママチャリに跨る
その男とすれ違う
ぬくもりのある笑顔とは違う
作り笑いの寒々としたそれ
一瞬の間に ロボコップが刃物を持っていないか と 確かめたい
 ぼくは振り向き男を見た
股を開きママチャリを漕ぎ続けて視界から去るロボコップ
その向こうから叫び声は上がってこない なにごともなかったのだろう
ロボコップは地顔が 寒々とした笑顔なだけで 何かやらかすことはなかった
ただ
こんな 嫌な音が谺するところに長居したんでは
ぼくもきっと ロボコップと同じニヤニヤ笑いをしながら 刃物を手にするに違いない

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?