■「たわわ」騒動に見る日経の体質
マスコミってナニ?(19)
ニュースの存在を考える 「マスコミへの道」改
◇巨乳女子高生広告の波紋は…
先週の話で恐縮だが、4日月曜日の日経新聞に載った漫画「月曜日のたわわ」単行本最新刊の全面広告をめぐる騒動である。講談社「週刊ヤングマガジン」掲載の連載漫画だそうで、「たわわ」のタイトルどおり、すんごい巨乳女子高生が悩まし気なポーズをとるイラストがドーンと載った。
この漫画のことはまったく知らなかったし、個人的には大きいのは好きなのだけれど、一目見て「やばくないか。こんな広告をよく載せた」と思った。東京で発行される主要6紙のうちで載ったのは日経だけ。
性的な内容を明らかに含んだ広告と一目で映り、ネット上で大きく問題になった―と報じるネットニュースもあったが、実際はどうなのだろう。
ネットニュース「ハフポスト」は掲載から4日後の先週末の8日に「専門家が指摘する3つの問題点」として記事にしているが、これを転載したヤフーニュースでのコメントの書き込み数は10日夕方で300に満たず、騒動とまでは言えないだろう。
日経もそこそこの炎上は覚悟していたろうし、広告を出した講談社もそれを狙っていたとも思うが、ヤフーレベルで見る限り、思惑は外れた―思ったほど話題にならなかった―とみていいのでないか。
朝日、読売あたりでこれを出せば、読者の反発は結構あっただろう。そもそも、この両紙は載せなかっただろうが。
日経には、ほとんどの日刊紙に欠かせない「投書欄」がない。経済や国際、政治的な問題についての提言的な読者の「小論」は掲載されるが、一般読者がさまざまなことについて意見を寄せ、それを掲載するという紙面がなく、新聞そのものに、読者の意見をすくい上げるという姿勢が見られない新聞だ。
どこの新聞も、読者の意見を尊重しており、昔に比べると「訂正」を出すようになったし、単純な誤りにもかなり低姿勢で紙面で対応している。日経はその点で一番冷淡な媒体といえる。
自分の経験だが、数年前の記事に「シベリア半島」という表記があった。海外の専門誌に載った記事の翻訳を転載したものだったが、カムチャッカ半島はあっても、シベリア半島なんてものはない。
明らかに編集ミスだ。その点を僕がメールで指摘したら、日経から「関係者に指摘し、今後は注意します」との返信はあったものの、結局紙面には「訂正」は載せないままだった。
新聞記者にとっては、【訂正】を出すことほど恥ずかしいことはないので、それを出したくないのは理解できるが、実に日経らしい対応…と思った。
今回の、たわわ騒動も、彼らにとっては平気なんだろう。ほとんど気にしていないと思う。
※写真は4/4付日経紙面
2021年2月19日の「■われわれはマス「ゴミ」ではない!」から60本にわたって書き綴った、マスコミ界歴35年の筆者が、改めてマスコミ(新聞、出版、放送)界と社会、世界について書き綴る。マスコミ志望者必読。