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2025年 新聞界は…

(72)ニュースの存在を考える

◇紙の新聞は消える…

今月(2025年1月)末で、1969年2月創刊の夕刊フジ(発行・産経新聞社)、1970年3月創刊の東京中日スポーツ(同・中日新聞社東京本社)が、それぞれ「休刊」する。いうまでもなく、事実上の廃刊であり、復刊することは―少なくとも紙の、印刷媒体としては-ないだろう。
それぞれ、50年以上、それなりに存在感を示した新聞である。
特に、夕刊フジは即売の夕刊3紙ー東京スポーツ、日刊ゲンダイーとともに、首都圏、近畿圏など、大都市部の仕事帰りのサラリーマン層の強い支持を受けて、紙勢を誇った時代があった。
その2紙の消滅は既報のとおりで、ここでは触れない。
それとはまったく別に、私が今年に入って気が付いた新聞(紙の)業界の変化について触れたい。

◇産経がとうとう取り入れたこと

太平洋戦争のことを、「大東亜戦争」などと平気で表記し、政治の世界では自民・公明の政権与党でも認めようとしている「選択的夫婦別姓制度」に強く異を唱えたり、女性・女系天皇の誕生に強く反対するなど保守傾向が顕著な産経新聞が、今年に入って変化を見せている。
「丁寧に産経を読んでいる人しか気づいていないことがあるんです。産経の紙面でこっそり変えたように映る変化がありました」というのは、産経新聞の関係者である。
何があったのか?
「産経は、基本的に掲載記事の年号を、昭和、平成など元号=和暦=で表記していたのですが、今年1月以降、経済記事に関しては西暦で表記するようになったのです」。
え? 朝日や毎日、日経さらには、保守的な読売でも新聞記事の年号表記は西暦だと思うけど…。
「産経に関しては、違います。頑なに元号・和暦を使っていて、国際ニュースでもわざわざ元号で書いたり、例えば平成時代に2050年を平成62年などとあり得ない年号を平気で書いていました。令和7(2025)年などという表記も頻繁にみられます」
平成62年、今の上皇が天皇だったして、あり得ないだろうに。
「そんな新聞が、今年に入って経済面、経済記事に関しては西暦を使うようになったのです。社長人事などでも、去年までは西暦表記の共同通信記事を昭和や平成など元号に直して掲載していたのが、そのまま西暦表記になっています」
へぇ~、どうしちゃったんだろうね。
「昭和、平成そして令和―と元号をまたぐと年数の計算がものすごく煩雑じゃないですか。だから、ほとんどのメディアは西暦表記でやっていたのにならったのでしょう。産経でも実は、以前から運動面は大相撲の記事以外は西暦で書いていたんです。そのほうが合理的ですからね。ただ、経済面、経済記事では西暦表記になったものの、社会面や政治面、政治記事も原則的に元号で書いているのは変わらないです」(先の関係者)
まあ、産経新聞の熱心な読者でもない限り気づかないだろうが、この変化の背景が気になる。

◇毎日新聞がペラペラに

紙の新聞の凋落ぶりは今更言うまでもないのだが、今年に入って気になることがあるという。
「毎日新聞が産経や東京新聞よりページ数が少ないことがあるんです」とは、全国紙のデスク。
どういうことか。
「東京発行の朝刊で、毎日のページ数が20ページ、22ページなんていうことがあるんです。だいたい新聞は、1枚の紙に表裏4ページが印刷され、朝刊だと20,24…32…など4の倍数のページ数が普通です。かつては広告もたくさん入り40ページを超すこともあったのが、どんどんページが減っていて、今年に入って産経や東京新聞が24ページの時に、毎日が22ページ、20ページなんていう時があるんです」(先のデスク)
毎日が、朝日、読売と並ぶ「三大紙」などと言われたのはずっと昔の話。戦前は朝日をしのぐ日本最大の新聞だったこともあるが、戦後は、朝日、読売に抜かれ、今や三大紙といえば、毎日に替わって日経となって久しい。
「ページが減ったのは、印刷に関わる経費を減らすことが主眼でしょう。それでも広告が入るならページ数を維持もできるでしょうが、それもできなくなっているのでしょう」
毎日は、今年に入って将棋の8大タイトル戦のひとつ「王将戦」主催の撤退も表明された。
「将棋ファンの中には、毎日信者も多かったのですが、こうなってくると春の選抜高校野球からも毎日が撤退しないか、との心配も出ています」(同)

産経の西暦表記は、時流に合わせたものと言えるかもしれないが、その産経も金づるのフジテレビが中居正広問題で大揺れにあるだけに今後が心配される。
2025年、新聞業界に大波が押し寄せるかもしれない。

※日刊ゲンダイにそのまま転載できるような記事になったなw。


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