「大日本沈没Ⅲ」
ここにかつて 大きな銀行があったのです
その 本店があったのです
いまや 銀行は一人でも来店客を減らしたいようで
大通りに面する店でも 個人客をわざわざ足を運びにくい3階まで 行け
と
言います
そのうえ
ずいぶんと長い時間 ソファで待たせます
振込やら 何かの手続きやらも
ネットでやってください お客さま
ということなんでしょ
それは―わかります 時代の流れです
にしても そこで客の接遇をしている 制服姿の派遣とおぼしき女性スタッフさん
ここが銀行の本店だったと
ご存じですか
(苦笑を浮かべ)
「そうですね―昔からいらっしゃる人からは聞いてますねー」
そう そりゃそうでしょうね
日本でもトップバンクのひとつだった銀行ですもの それが名前も 本店もなくなってしまい
(彼女は 苦笑のうえに無言の仮面をかぶる)
バブル崩壊後
銀行 証券 生損保…
ニッポン経済 あらゆる業種で離合集散進み
失われた10年 20年 30年
日本はどんどん どんどん 小さくちいさくなって
そのうち もう
沈没しちゃいますね
きっと きっと
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