「朝日一丁目地域猫の会」KON-KON! おじゃまします(1)
まちスポ大津スタッフが今聞きたい人にインタビューをする“とびだす!KON-KONおじゃまします”!2022年度から開始した活動の、取材先第1号を掲載します。
「朝日一丁目地域猫の会」 木下 理恵さんと平畑 万紀子さんにお話を伺いました。同会は、大津市朝日一丁目で地域猫活動に取り組んでおられます。(以下、敬称略)
※2022年5月20日(金)にお話をお伺いしました。
活動のきっかけは?
白井:まず、活動をはじめたきっかけを教えてください。
平畑:2021年の5月頃、地元である朝日一丁目のママ友と一緒に立ち上げました。朝日一丁目は高齢夫婦が暮らす家が多い地域です。最近は飼い主の急な入院で飼い猫のお世話ができなくなり野良猫になったり、空き家が増えて野良猫が住み着いていたということもありました。私は町内で高齢者の見守り隊をやっていて、そんな状況がほっておけなかったのです。地域の高齢化問題は野良猫の問題に直結していると感じていました。
そんな時、大津市真野北学区で地域猫活動と里親募集をされている「真野北アニマルレスキュー」という団体代表の山内さんから、朝日一丁目で地域猫活動をしてくれないかという相談があり、活動がはじまりました。
私たちの活動ではこの一年で40匹の猫の不妊手術をして、10か所の餌場をつくり猫のお世話をしています。
仲間は何人ですか?
白井:一年で40匹!すごいですね。今は何人くらいの方が活動に参加していますか?
木下:現在10名程で活動をしています。以前から猫に餌をあげていたおばあちゃんが餌やりボランティアをしてくださっていたり、知り合いに声をかけてメンバーが集まりました。
気になる活動費用の話
白井:地域猫活動ということで、不妊手術の費用や餌代はどうされていますか?
木下:滋賀県は、地域猫活動に取り組んでいる団体へ5万円の補助金を出しているのですが、大津市は市内にある動物愛護センターで無料で不妊手術を受けることができるため、その補助金の対象外なのです。
私たちの活動でも初めは動物愛護センターに連れて行き不妊手術をしていました。でも、コロナになり動物愛護センターを管轄している大津市健康保険部保健所が受け入れを中止してしまいました。
とは言え手術の済んでいない猫はまだいて、手術費用も補助がないので、捕獲機で捕まえた猫たちを真野北アニマルレスキューさんに多賀町まで運んでもらい、不妊手術専門病院で処置してもらっていました。
自治会の承認を得て取り組んでいますが、地域の中には様々な考えの方がおられるので、自治会費から地域猫活動の費用を出してもらうのも難しいんです。餌代など、今は個々人が持ち出しで何とかしていますが、ボランティアの負担になっては大変なので何とかしたいと思っています。
白井:そうですね。ほっとけないと思ってはじめた活動が負担になるとしんどいので、何とかしたいですね。
協力体制は不可欠!
白井:団体を立ち上げてから1年程経ちましたが、他に見えてきたことはありますか?
平畑:地域猫活動は、ひとつの地域だけでできるものではないということに気づきました。地域猫として見守っていくためには、TNR(T=Trap 捕まえて、N=Neuter 不妊手術をする、R=Return 元の場所に戻す)をします。不妊手術をしたあと元の場所に戻し、餌をあげるなどお世話をするのですが、その餌を求めて周りの地域から猫が入ってくるようになりました。今は野良猫の流入が激しくなっています。活動をやってみて、近隣地域とのネットワークや協力体制が不可欠であると感じています。
今年度のチャレンジ
木下:今年度、令和4年赤い羽根チャレンジ事業に採択されました。この助成事業では、近隣地域と一緒に地域猫活動に取り組んでいくためのネットワークづくりと地域猫について知ってもらうための啓発活動に力を入れようと思っています。地域猫活動はTNRが基本なので、不妊手術を行ったあと元の場所に戻し生涯地域でお世話をするのですが、「捕まえた猫をなぜまた放すのか」という声があったり、中々理解されにくい活動でもあります。回覧板に入れて一人でも多くの人の目に触れるようにするなど、まずは活動への理解を広げていきたいと思っています。
白井:なるほど。他人事ではなく自分事として関心を寄せる人がひとりでも増えてほしいですね。
これからの活動について
白井:最後に、今後の活動への思いを聞かせてください。
木下:朝日一丁目では、住環境保全を第一目的に掲げて活動しています。単に猫好きの会と誤解を受けない様、広報する際には注意しています。ボランティアメンバーの参加動機は様々です。私個人は殺処分ゼロ運動にも賛同しています。住民が地域猫を認知して共生していける地域を作っていきたいです。
平畑:地域猫活動をしていると、地域の様々な問題が見えてきます。私は野良猫や地域猫がいない社会を目指すのではなく、みんながちょっぴりずつがまんして共存できる暮らしができたらいいなと思っています。管理するのではなく、穏やかに共存できたらと思います。この活動もなりゆきと行きがかりですが(笑)
白井:私も地域や社会の課題と向き合う活動に参加すると、すべての課題はつながっていると実感することがよくあります。一つの地域からはじまった活動が、採択された赤い羽根チャレンジ事業を通してより多くの方に知ってもらうきっかけになればいいなと思います。今日はありがとうございました。
※2022年5月20日(金)にお話をお伺いしました。
👉Keyword!地域猫活動(TNR)とは?
地域でエサやりやトイレの設置等についてルール化し、不妊手術を実施した上で、猫を適正に管理する活動のことです。
捕獲器などで野良猫を捕獲【Trap】し、不妊手術【Neuter】を行い、元の場所に戻す【Return】ことの頭文字をとってTNRと略します。望まれない出産をなくし、殺処分数を減らすのに最も有効な手段と考えられています。
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