見出し画像

「NPO法人京都子どもセンター」 KON-KON! おじゃまします(10)

まちスポ大津スタッフが今聞きたい人にインタビューをする“とびだす!KON-KONおじゃまします”!2022年度から開始した活動の、取材先第10号を掲載します。
まちスポ大津のスタッフが今聞きたい人にインタビューする、“KON-KONおじゃまします”、10回目は滋賀をとび出し、京都の団体へ取材に行ってきました。
今回は、NPO法人京都子どもセンター副理事長の相模洋太さんと理事の竹内香織さんにお話を聞きました。同団体は、無人島キャンプやおやこ狂言会などの事業を通して、子どもの育ちと、子どもが自らの力を信じ、とりまく環境に働きかけていく社会参画の推進を目指して活動されています。(以下、敬称略)
2023年9月5日にお話を伺いました。


活動のはじまり

まちスポ:今日はお話を伺えること、楽しみにしていました。早速ですが、京都子どもセンターの活動が始まったきっかけを教えてください。
竹内:はじめは、府内13地域のおやこ劇場のつながりをつくり、府全体での活動づくりを進めるため、任意団体「京都府親と子の劇場協議会(以下、協議会)」として発足しました。発足当時、おやこ劇場のような会員制の地域組織が運営の岐路を迎えていたこともあり、一段階大きなまとまりで、個々ではできない事業やつながりをつくろうという思いがありました。
その後、より公益的な子どもの活動づくりを目指して「京都子どもセンター(以下、子どもセンター)」を設立、2000年にNPO法人格を取得しました。
事業としては、①子どもの心の居場所事業(現在は「NPO法人チャイルドライン京都」として独立)、②青年の活動(無人島キャンプ等)を通じた支援者育成事業、③ネットワークを活かした鑑賞事業(おやこ狂言会)等を行うことになりました。

青年部による無人島キャンプ

まちスポ:ウェブサイトを拝見しましたが、8月に1週間無人島キャンプをされていたのですね。どのように企画、運営されているのでしょうか?
相模:無人島キャンプは京都子どもセンターの青年部KAMONASU(カモナス)が毎回イチから企画を作っています。まずその年の隊長が決まり、隊長を中心にテーマを決めて、自分たちのやりたいことを実現しながらキャンプの中身を作ります。大学生が隊長になることが多いのですが、始動が遅れ、企画内容の決定や参加者募集がスケジュール通りにいかないこともしばしば…朝から晩まで会議をして答えが出ないこともあります。でもそれがいい。たくさん悩んでたくさん考えてできた企画だからこそ、モノになったときに、達成感や自己肯定感が生まれます。
京都子どもセンターでは運営する学生スタッフも“子ども”。企画の運営を通して成長していってほしいと思っています。

無人島キャンプ/ 参加者も運営スタッフも共に楽しむ1週間
無人島キャンプ/ 参加者も運営スタッフも共に楽しむ1週間

まちスポ:子どももスタッフも一緒に成長する場になっているんですね。無人島キャンプは参加対象が小学4年生~中学3年生と広報物で拝見しましたが、隊長の他に運営にはどんな方が関わられていますか?
相模:もともと参加者だった人が多いです。参加者から、高校・大学生になって運営スタッフになり、社会人になってがっつりは関われないけど…という人は、できる時にできる事で関わってもらっている感じです。例えばキャンプ初日に「いってらっしゃい!」と送り出しだけやる、荷物の運搬をする、スタッフの打ち上げ準備だけを段取りするなど、関わり方は様々です。きちっとしたプログラムにあてこまない自由さが、私たちの活動を支えているのかなと思います。共通することは、みんな、活動を大切に思い、自分たちが楽しい!と思いながら関わっていることです。

運営の担い手―継承・世代交代

まちスポ:相模さんは現在理事とのことですが、関わられたきっかけを教えていただけますか?
相模:私自身も元々参加者で、運営スタッフになり、KAMONASUメンバーとして活動していて、社会人になっても団体を支えたいという思いから理事になりました。
まちスポ:活動者から運営スタッフになり、組織を支える立場になるという方が多くおられ、心強いですね。
竹内:はい、今は現場をつくってきたメンバーが団体を支えています。
私自身は30代前半に、前身の協議会から子どもセンター立ち上げの準備が進み、いよいよ設立という時に、当時の事務局長から、副理事長お願いねと言われました(苦笑)。40代にはそのまま理事長も務めましたが、50代になって理事長交代のバトンを渡そうとした時は苦労しました。
当初、子どもセンターとしては、京都府域の子どもに関わるNPOの中間支援を目指そうと考えていたのですが、中間支援を具体的な事業として実現できなかったという実情があります。一方でKAMONASUのリーダーは現場で育っていました。しかし、KAMONASUに中間支援のリーダーを引き継ぐのは難しく、新たに外部から中間支援のリーダーを見つけるのも難しかったのです。そこで、事業の柱をKAMONASUが主体となって動かしている無人島キャンプ等の活動と、こども実行委員会でつくるおやこ狂言会に絞る選択をしました。
そして、KAMONASUの現場リーダーに理事長のバトンを渡しました。今だから客観的に話せますが、当時は数年間みんなで相当悩みました。
まちスポ:代替わりの大変さがあって、今の子どもセンターの事業があるのですね。外部からの応援やサポートはありますか?
相模:無人島キャンプでは通称“イェーイのおっちゃん”の存在が大きいです。いつも陽気で口ぐせが「イェーイ」。私が第3回目のキャンプの隊長をしていた時、島渡しや食材の運搬等でお世話になっている民宿の紹介でキャンプに参加してもらい、それからずっとキャンプを支えてもらいました。魚の釣り方など海での遊び方はもちろん、“おっちゃん”の陽気にみんなを別け隔てなく愛する姿に、人としてたくさんのことを教えてもらいました。
まちスポ:活動の目的を理解し支えてくださる方の存在は、本当に心強いですね。

おやこ狂言事業

まちスポ:おやこ狂言会はどのような体制で行っておられますか?
竹内:狂言の楽しさを子どもたちに知ってもらいたいと、1989年から年に1回開催してきたのですが、企画するメンバーが高齢化し、一度それまでの実施体制を解体して話し合いを行いました。そして、大人が子どもに届ける活動では継承できない、子どもが中心となって動いてこそ、という思いから、第30回を前に新たな体制をつくり、こども実行委員会を公募して発足させました。

初笑いおやこ狂言会/こども実行委員会集合写真

「狂言って楽しい!」をたくさんの人に知ってもらうため、子どもの目線で伝えることに力を入れています。演目もこども実行委員メンバーと茂山あきらさんが一緒に話し合って決めるのですが、みんな狂言に詳しく、子どもの熱量があるからこそ、大人も一緒に盛り上げたいという活動の原動力になっています。
まちスポ:なるほど。本当に、子どもセンターの活動を大切に思う人たちが、できる事をできる形で支えていることが伝わってきました。

今後の取り組みについて

まちスポ:最後に、今後の展開について考えておられることはありますか?
相模:やりたいことは、色々あります。壮大な夢なのですが、KAMONASU海外事業部を作って、1ヶ月位海外で過ごすプログラムを作ってみたいとか(笑)。そんなことも語りながら、実現できそうなものをみんなで探しています。
現在の取り組みとしては、子どもセンターやKAMONASUに参加していたメンバーにちょうど子どもが生まれ、親世代になっている人も多いので、自分たちの子どもを連れて関わることのできる場をつくり、活動を盛り上げていきたいと思っています。
例えば、福知山市夜久野町で6年間続けていた稲作体験企画を、もっと身近なフィールドでの親子参加型企画に生まれ変わらせようとしていて、現在は小さな子どもたちとパパママ限定で「野遊び探検隊」として実験中です。もともとは小学生以上を対象にした稲作体験でしたが、コロナ禍でいったん中断し、その間に中心で動いていたスタッフや昔一緒に活動していたスタッフたちが同じタイミングで親となったことがきっかけでした。小さな子どもたちの小さな発見に寄り添い、ゆっくりとした時間を親子で分かち合う、そんな時間を楽しめる企画になっていったらと思っています。
様々な事情で少し団体を離れてしまっても、また参加できる場を作っておきたいと思っているんです。

親子で「野遊び探検隊」に参加
みんなで稲作体験

竹内:楽しみながら続ける、しんどくならない活動づくりは相模くん達がうまいんです。
まちスポ:今日は団体を支えるスタッフの世代交代のお話や大切にされている思いなど、様々なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

2023年9月5日にお話を伺いました。
(写真提供:NPO法人京都子どもセンター)

👉KEYWORD!「おやこ劇場とは?」

親子で舞台芸術を鑑賞し、他の親子との交流事業などを通じて、子どもたちの感性を育むことを目的としている。1960年代、テレビアニメの普及などを背景に福岡から始まり、全国各地に同様の活動団体が生まれている。多くが「おやこ劇場〇〇」「〇〇こども劇場」など地域名が団体名に含まれ、団体の形態も様々。

👇団体のウェブサイトです


👇本note記事のPDFデータをアップしています

👇地域で活動する人のサポートをする私たちの活動を応援してください!


いいなと思ったら応援しよう!