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【運営メンバー紹介】中小企業診断士・平川奈々|町プロタウンの可能性を紐解く

町プロタウン運営メンバー(クルーと呼びます)を紹介するシリーズです。第三弾は、中小企業診断士として町プロタウンを支える、平川奈々さん。

「町工場プロダクツ」が発展し、新しいオンラインコミュニティ「町プロタウン」が2024年4月にスタートしました。町工場のみならず、業界や職種を超えて、さまざまな企業やファンの方にご参加いただいています。

「共創とイノベーションを創出し、社会に還元していきたい」そんな思いを持って運営に関わるメンバーを紹介していきます。

プロフィール

平川奈々(中小企業診断士)
⼯学部航空宇宙学科卒業後、航空機内装品製造会社や外資系自動車部品メーカーでエンジニアとしてキャリアを積み、2021年から中小企業診断士として活動。5S・カイゼン活動・工程改善・原価管理・海外展開などを通じて幅広く製造業を支援。
(⼀社)ものづくりなでしこサポーター会員
町⼯場プロダクツサポーター
ものづくり新聞特派員
(NPO法⼈) ⽇本モデルロケット協会認定指導員
(独) 中⼩企業基盤整備機構中⼩企業アドバイザー(経営⽀援)
(⼀社) 埼⽟県中⼩企業診断協会正会員
(公財) 埼⽟県産業振興公社登録⽀援専⾨家
(公財) さいたま市産業創造財団登録専⾨家
埼⽟県産業技術総合センター登録専⾨家


現場を大切にする!製造業出身の中小企業診断士

——奈々さんの活動について教えてください。

中小企業診断士として、経営コンサルタントをしています。もともと製造業出身で、製造業が大好きということもあり、ほとんどのクライアントさんが製造業です。

——製造業出身だからこそできるサポートもありそうですね。

そうですね。私は製造業に就職してエンジニアをしていたころ、数字だけで判断されて、現場のよさや技術をわかってもらえないことが、すごく悔しかったんです。

トヨタの用語に「現地・現物」という言葉がある通り、問題は現場で起こっているし、いいことは現場にある。製造業は現場や技術に一番の強みがあると思うので、現場の力を信じて、現場を見ることをすごく大事にしています。

——コンサルの仕事でも、現場に行くのですか?

はい。現場に行って、生産工程の改善をしたり、整理整頓の5S活動を一緒に行ったりします。数字はもちろん見ますが、個人的には数字以外のところも大事にしたいと思っています。

——モノづくりに寄り添ったサポートができるところが、奈々さんの強みですね。

自分が大事にしていることであり、やりたいことでもあるので、現場に寄り添ってサポートできることにやりがいを感じます。

町工場プロダクツと出会って「これだ!」と思った

——そこからつながっているかもしれませんが、町工場プロダクツとの出会いを教えてください。

中小企業診断士の資格を取得して、製造業の会社の支援をしたいと考えていたときに、自分の中でモヤモヤすることがあって。

製造業では、BtoBの製品をつくっている会社が多く、昔だったら自動車業界にいれば安定していると考えられていました。でも、時代が少しずつ変わる中で、それだけでは厳しいんじゃないか、何か道はないものかとずっと考えていたんです。

そんなとき、町工場プロダクツの活動に出会いました。町工場で自社商品をつくって売れると知って、とても驚いたんです。この活動をもっと広めたいと思いました。

それで、おやっさんと眞鍋さんに連絡して、「何か手伝えることありませんか?」って、自分から手をあげて参加したんです。

自社商品をつくることによってメリットはあるけれど、実現は難しそうだと思っていたので、課題が一気に解決できそうな気がしました。

——もともと持っていた課題意識があって、「これだ!」と思ったんですね。

自社商品の開発は会社経営と似ている

——町工場プロダクツの活動に参加してみて、どうでしたか?

それまで、自社商品をつくるのは大手企業のイメージがあったので、会社の規模に関わらずチャレンジできるということに、すごくビックリしました。

やってみると、小さい会社だからこそできることにも気づきました。

大企業で新規事業を立ち上げるときには、コストの計算など事前準備に手間がかかりますが、町工場は小さいからこそ、社長の裁量ですぐに決定できる。跡継ぎの方の新しいチャレンジにも向いています。

小さいからこそ、どんどんPDCAを回して、短期間でモノづくりができることがわかりました。

——跡継ぎのチャレンジに向いているのは、なぜですか。

新規事業って、営業・コスト・見せ方などを考えるので、小さい会社を回すようなものなんです。やっていくうちに自然と経営マインドが育つので、社長になる準備に適しています。

——新規事業は、製造業が生き残るための施策というだけではなく、跡継ぎへ引き継ぐ準備としての要素もあるんですね。

社員が参加することで会社の魅力がアップする

——町工場プロダクツについて他に考えていることはありますか?

町工場プロダクツで活動しているのは、社長や跡継ぎの方が多いですが、社員の方の参加も増えたらいいなと思います。

社員のみなさんは、目の前の仕事があるので、新しく商品を開発することはなかなかハードルが高いかもしれません。でも、そういう方が増えると、いろいろな広がりが見えるんじゃないかな。

社長と社員では立場や事情が違いますが、参加できる仕組みがあれば、そういう会社に入りたい人が増えるんじゃないかなと思います。

——新規事業への挑戦はワクワクすることですし、製造業は実はクリエイティブでマーケティングも学べる、もちろんモノづくりも学べる。会社の魅力が増しますね。

ブランディングもできるので、それを社員ができるというのは会社の魅力につながりますし、人材採用にもよい影響が出ると思います。

自発的な行動が楽しさや感動につながる

——町工場プロダクツに参加している方と交流して、感じたことはありますか。

行動力がある方がすごく多くて、その行動力が売り上げや認知度につながるのが目に見えて、おもしろいと思いました。会社の指示ではなく、自分からやることは、気合いや楽しさが違うと感じます。

——自発的に行動することが楽しさにつながる、ということですか?

私はエンジニアとして設計をやっていたときに、自分がつくったモノができて、それを見るのがすごくうれしかったんです。

飛行機に搭載されるモノだったので、飛行機に乗るたびに「これ私がつくったモノだ」と実感したり、「どうすれば改善できるか」と考えたりするのがすごく楽しくて。それが自分の原体験としてあるんです。

指示されて作業するだけじゃなくて、イチからつくる体験ってすごくいいなと思っています。

——だから町工場プロダクツの活動にも共感されたんですね。奈々さんにとってのモノづくりのおもしろさは何ですか?

自分がつくったモノを手にしたときの感動は、かけがえのないものでした。

私は飛行機関連のモノをつくっていたので、強度や燃えにくさなど複雑な要件がたくさんあって。何度も失敗して、数え切れないくらい怒られましたが、大変だった分だけ完成したときの喜びはひとしおでした。

がんばってよかったと思いましたし、お客様から「とてもよかったよ」と言ってもらえると、すごくうれしかったです。

——お客様の声を聞けるのはいいですね。飛行機を見に行くこともあるんですか?

飛行機の中に搭載するモノをつくっていたので、飛行機を見に行くというよりは乗るときに、わざわざ機体をチェックして予約します。「これ、私がつくった」と思いながら乗りますよ、笑。

——町工場プロダクツでいうと、自分がつくったモノが、例えば渋谷ロフトや羽田空港 蔦屋書店に並んでるのを見ると、すごくうれしいのと同じですね。

そうですね。自分がつくったモノが実際に店舗で販売されるという経験や感動は、格別だと思います。

町プロタウンなら自社商品開発に取り組みやすい

運営ミーティングはリアルでも開催。田中健士郎さんと共におやっさんのところに集合!

——春から始まった町プロタウンでは、そういう感動を町工場さんと分かち合いたいですね。
はい!もちろんその前にやらなきゃいけないことはたくさんあって、大変なこともあります。

でも、町プロタウンのいいところは、いろいろ悩んで、困ったり喜んだりしながら開発を経験した先輩がいることです。もし壁にぶつかってどうすべきか悩んだときに、アドバイスしてくれる先輩方がいるのは、プライスレスな価値だと思います。

——自社商品の開発も、相談できる場があると、ゼロから始めるより進めやすいですよね。

そうなんですよね。町プロタウンの場合はギフトショーや渋谷ロフトなど、出展や販売する場所がすでにあります。イチから販路開拓しなくていいので、自社商品をつくるハードルはぐっと低くなると思います。

アドバイスしてくれる人はたくさんいます。私も中小企業診断士として、事業計画や販売計画のアドバイスで力になれればと考えています。

——奈々さんに相談できるのは、心強いですね。

町プロタウンのコミュニティとしての価値

町工場プロダクツの中の人、眞鍋玲さんとの交流も活発です

——町プロタウンに期待していることはありますか?

はい、2つあります。ひとつは自社商品を出すことによって、新たな業界に入るチャンスになる「BtoCtoB」が盛んにできるようになるといいなという期待です。

もうひとつはその次の段階として、町プロタウンにいる人の横のつながりで、新しく製品をつくることです。

今、いろいろな製品がつくられていますが、ほとんどが自社1社で完結しています。そこを、例えば「栗原精機×大高製作所」のようなブランドや町プロブランドとして、複数社が1つの製品を一緒につくって販売する。

そういった横のつながりで何かつくれたら、すごくおもしろいですよね。

町工場プロダクツに参加している会社はもともと技術力が高いのですが、業界が分かれています。業界の垣根を越えてコラボレーションできたら、新たなチャンスが生まれるかもしれません。チャレンジングですけど、すごく可能性を感じます。

——町プロタウンに入る方に、何か伝えたいことはありますか?

町プロタウンに入っていただいた方には、積極的に手をあげて輪に入っていただきたいです。忖度とか考える必要はないので、「こんなコメントしたらまずいかな?」とか思わずに、気になることをどんどんSlackでコメントしていただきたいです。

それが新しいアイデアとして発展することもあるので、気軽に話してもらえるといいなと思います。

——コメントした分だけ返ってくるのがコミュニティですよね。

製造業で集まっている仲間なので、愚痴でもいいと思います。会社の外に捌け口があるって、すごく心強いですよね。SNSのように拡散される心配もないですし、笑。

ちょっと言いたいモヤモヤがあるけど、会社じゃ言えないし、家族にも言えないことってありますよね。町プロタウンには、仕事で納得できないことや、言いにくいことを受け止めてくれる素養があると思います。

心のよりどころになるようなコミュニティになってほしいですね。

編集:坂本リサ
執筆:藤本ゆう子
校正:森真弓
写真提供:平川奈々、メイカーズリンク


最後までお読みいただきありがとうございました!

2021年より活動を始めた「町工場プロダクツ」がさらに発展し、新しいオンラインコミュニティ「町プロタウン」が2024年4月にスタートしました。

町工場以外のどんな立場の方も関われるしくみができました。町工場のみならず、さまざまな業界、町工場が作るモノが好きで応援したいという個人ファンの方もご参加いただけます。

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