8050問題―ひきこもりが顕著化する理由
相談支援専門員と個人事業主の二刀流マチパーです🦁
8050問題とは、かつて「失われた時代」と言われた、バブル崩壊後~リーマンショック後の約30年のことを言います。
仕事を失い「自宅に引きこもる」、あるいは「親の介護」「病気になって働けなくなった」など「引きこもる理由」は人それぞれあると思います。
この記事では、相談支援専門員をしている私の視点から、8050問題を取り上げ、その「実態」を知ってもらえたら、と思っています。
この記事を読み終えることで「8050」問題がごく身近にあるという事実を知り、一人の人として何ができるか、一緒に考える機会になればうれしいです!
8050問題って?
最近巷で話題になっている「8050問題」、皆さんはご存知でしょうか?
「8050問題」とは、年金暮らしの80代の親(母親の場合が多い)に働くことの難しい50代の子(息子が問題なることが多い)が、親の年金を頼りに生活している家庭のことで、親が病気などで介護が必要になった時に顕著化する社会問題のことをいいます。
ひきこもりの高齢化が社会問題となる理由
私も相談員をしているので、8050問題に遭遇することが多くあります。
女性なら「家事手伝い」という名前で家にいても特に問題にならないけど、男性の場合、そういうわけにもいかないですし、特に田舎だと「世間体」というものもあるので、なかなか悩ましい問題です。
また、包括支援センター(65歳以上の高齢者の相談や介護保険の申請などといった高齢者の暮らしをサポートする機関のこと。ケアマネジャー、社会福祉士、保健師といった専門職が常駐している)から
「要介護者の自宅に訪問したら、引きこもりと思われる子どもがいたので相談したい」といわれることもあります。
世間では「8050問題」といわれていますが、就職氷河期で就職がままならなかった70代の親と40代の子といった「7040問題」や、我々の業界では当たり前に聞く「9060問題(90代の親に60代の子ども)」のように、早期介入を求められます。
相談支援専門員界隈では「8050なんてまだかわいいもの、9060の方が早期に介入しないといけないよね!」と話しています。なぜなら、65歳以下の場合、難病などの重い病気でない限り「介護保険」の対象にならないのです。
それで「障害福祉サービス」を使うことになるのですが、家から病院に行く機会が今までなく、社会性も身についていない人であれば、病院に受診してもらうなんてまさに「至難のワザ」となります。
そういう人に限って「自分は障害でない!」「病気でない」という人も多いので、障害受容(自分がなぜ外に出れないのか理解できていない。そういう所に課題があって「障害」であることを認めることが難しい。)だから「障害福祉サービス」も受けることができないから、ますます世間から孤立してしまう。
場合によっては「生活能力」がないから「精神科病院」に入院することもあります。
「障害福祉サービス」とは、日中通う所(就労支援をする所や作業所など)、ヘルパーなど「生活支援」をする人のこと、グループホーム(障害のある人たちが住む場所)などのことをいい、「障害福祉サービス受給者証」があれば利用が可能になります。
利用を希望する場合、行政機関に申請して「認定調査」を受け「障害支援区分」を取る必要があります。
これらがなぜ「社会問題」になるかというと、高齢の親が亡くなることで、今まで親の年金で生活していた高齢な子どもの生活が立ちいかなくなります。
親に生活の全てを依存してきた子どもが声を上げることができずに「孤独死」する、お金が無くなり窃盗などの「犯罪」に手を染める、
福祉や行政の支援を受けて「生活保護」になるなど、社会や経済に与える課題が多くあります。
親世代は世間体から問題を抱え込みやすい
高齢の親世代はどうしても「自分が子どもを守らないと」「世間様に迷惑をかけるなんて」と抱え込むケースが多く、世間から孤立する傾向があります。
社会から孤立した子ども世代は、親の庇護のもと、あるいはこころの中でもがき苦しみながらも「社会に出ることが怖い」
という思いから、人と関わる機会をもたずに「自分の殻に閉じこもる」ことが多いのです。
親は「子どもを守る」ために外に出さないけれど、それはかえって子どもの「依存心」を高めているだけなのです。