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私の芝居日記 第25号「インヘリタンス」

「インヘリタンス」(東京芸術劇場)

作:マシュー・ロペス
翻訳:早船歌江子
演出:熊林弘高
出演:福士誠治、田中俊介、新原泰佑、柾木玲弥、百瀬 朔、野村祐希、佐藤峻輔、久具巨林、山本直寛、山森大輔、岩瀬 亮、篠井英介、山路和弘、麻実れい
日時:2024 年2月11日(日)一部 13:00~16:00 二部 18:00~21:30
劇場:東京芸術劇場 プレイハウス(東京池袋)

2015~18年のニューヨークを舞台に、多くの仲間が次々と亡くなっていったエイズ流行初期を知る60代と、その時代を経験していない30代、20代の同性愛者たちを描いた群像劇です。
前後編を合せて6時間半の長いお芝居ですが、良いお芝居でした。後半はお尻が痛くなりましたが。

いろいろな物語が重層的に語られますが、
背骨となる物語は
エイズ流行初期に
エイズで死んでいく多くの仲間達を田舎にある自宅に迎い入れ、
それぞれの最後を看取り続けたウォルター(篠井英介)と
それを嫌悪したパートナーであるヘンリー(山路和弘)との長い人生の物語です。

洗練されたシャープな舞台。照明が素晴らしい。

劇中で使われた「マリア カラス」にグッときた。マリア カラスだと思うのだが。

20代から70代の役者達が時に激しく、時に淡々と、長い台詞を語る。
一言一言が伝わってきます。
山路和弘、麻生れい、篠井英介。ベテランが淡々と語る。秀悦です。

山路和弘が良い。増々、魅力的になっている。日本を代表する名優ですね。69才だというが80才の山路和弘を舞台で観てみたい。

田中俊介も良い。劇場いっぱいに台詞が響いていた。乱暴なくらいに。

福士誠治も良い。TVのイケメン俳優と思っていたが、舞台の方が良い。誠実さがにじみ出ている。

新原泰佑も良い。ベテラン・名優に囲まれた中で、果敢に演じていた。怖いもの知らずの若さはそれだけで壁を軽々と乗り越える。

「エンジェルス・イン・アメリカ」(2023年5月/新国立劇場)も良かったが、自分としては、この戯曲の方が好きです。

良いお芝居です。
千秋楽は2月24日です。
是非、観に行ってください。
私ももう一回、観に行きます。

それでは、またお会いしましょう。さようなら。
(山本満)

ハワーズ・エンド:
戯曲を書いたマシュー・ロペスがE.M.フォースターの「ハワーズ・エンド」を下敷きにしたと言っているので、早速、映画「ハワーズ・エンド」をアマプラで観ました。
確かに、下敷きになっています。
「インヘリタンス」と「ハワーズ・エンド」が重なりあって、映画を観ながら頭が少々混乱しました。(苦笑)

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