私の芝居日記 17号「エンジェルス・イン・アメリカ」
「エンジェルス・イン・アメリカ」新国立劇場
作:トニー・シュナイダー
翻訳:小田島創志
演出:上村聰史
出演:浅野雅博 岩永達也 長村航希 坂本慶介 鈴木杏 那須佐代子 水夏希 山西惇
日時:2023 年5月28日(日)一部 12:00~15:30 二部 17:30~21:30
劇場:新国立劇場小劇場(東京初台)
千秋楽に行ってきました。開幕間もない4月18、19日にも観ているので2回目です。もう一度、どうしても、観たくなって、行ってきました。
1980年代のアメリカはゲイコミュニティを中心にエイズがまん延し、社会に大きな混乱をもたらしていました。また、共和党のレーガン大統領の時代でもあります。
このアメリカを舞台に、性的マイノリティ、人種、信仰、政治などアメリカ社会の苦悩や葛藤を描く群像劇です。
混沌としたアメリカ社会を背景に、男と男、男と女、母親と息子、友人同士が愛し、裏切り、許すといった人間の普遍的な交わりを描いた作品でもあります。当然、この作品は社会性の強い作品ですが、どろどろした人間同士の縺れを描いた作品として楽しみました。
8人の役者が入代り立ち代わり、激しく台詞をぶつけ合う。ただそれを聴いているだけで、エクスタシーさえ感じる。ひき込まれていく。物語の背景や話の筋が少々分からなくても。
2021年4月に同じ劇場で観た「斬られの仙太」、7月の「反応工程」同様に、役者全員がオーディションで選ばれています。
役者達のこの芝居にかける熱さが伝わってきます。
岩永達也はエイズに苦しむゲイの若者を演じています。若くて、真っすぐで、未熟な感じが凄く良いです。
山西惇は迫力満点。こまつ座「雨」も良かったが、こっちの方が適役か。
浅野雅博の「アメリカが大嫌い」という台詞は刺さりました。アメリカを祖国とする黒人の複雑な思いを一言で。本当はアメリカを愛したい。しかし、偏見や差別で苦しむ現実。
7時間半という長さを全く感じさせない芝居でした。
2023年に我が国で上演された名作として、長く語り継がれることになるでしょう。
新国立劇場、ますます、頑張れ!
それでは、またお会いしましょう。さようなら。
バルコニー席:
今回初めてバルコニー席で観劇。A席は一部、二部の通し券で購入しても13,800円だったので、各3,300円のバルコニー席を購入したわけです。
結果としては、失敗。常の横を向かなければ舞台が見えません。安いのには訳がある。
ということで、二回目の観劇はA席を購入。前から3列目の良い席でした。役者の汗が飛び散る様子がハッキリ見えました。ルイス役をやった長村航希さんは膨大な唾と汗を。唾というよりは涎か。(苦笑)
長村さんは初めて見る役者さんで、テンポの良いセリフと身振りが印象的。
少し、上手すぎるかも。
文/山本満