『春にして君を離れ』孤独と不安からは逃げられないから
『春にして君を離れ』/アガサ・クリスティ
読みました!
胸糞悪い6: 気の毒3 :希望1
読み終わった時はこれくらいの感情の割合でした。笑
何が胸糞悪いかというと、ジョーンが私の母親にそっくりだからです。あぁ、うちの母親もこんな風に考えてるんだろうな~、こんなこと言われたな~、という内容のオンパレードで、読んでいると少々気が滅入ってしまいました。💧
ですがこのジョーンも、子供の頃色々あったようですね。(チラッと出てきました)
やはり育った家庭環境で決まる部分が少なからずあると思うので、彼女を彼女たらしめたものが幼い頃の家庭にあったのでしょう。そう考えると気の毒でもあるかな…と。
なにより、こんな母親に育てられた子供たちやこんな人間と契約してしまった夫が気の毒でした…。本人は良かれと思って色々やっているからタチが悪いんですよね。だれかにハッキリ言われないと…いや、こういう人は言われても分からないんだろうな。。
ただ、その子供たちもそれぞれちゃんと家から出られているのは希望だと思いました。やはり物理的に距離を置くのが大切ですよね。
わたし的には、冷静で論理的なエイヴラルがジョーンと縁を切っていないのが意外でした。この子なら遠慮なく捨てそうなのに。あ、ご飯とか行くんだ!って思いました。
トニーはどこまでも遠い所へ逃げることで自分を守っていそうですね。裏で妹たちに手をあげたりしていなくてよかった。
バーバラは息も絶え絶え逃げている感じがします。かわいそうに。。ジョーンが来たら来たで対応してしまうという…。ジョーンが亡くなったらさぞかし安心できるでしょう。それまでがんばって逃げて!と言いたい。人のこと言えないけど←
この本の中で唯一、ジョーンが自分の間違いに気づくシーン。あそこは大きな希望が見えたんですが……結局また箱に入ってしまいましたね。せっかく箱から出られたのに。残念…。もしエイヴラルに会ってすぐ「お母さんが悪かったわ。赦して…」と謝れていたら、全く違ったと思います。でも、エイヴラルの冷たく距離を置くような視線を見たことで、それまでの新しい考えもむなしく、また箱に入ることになってしまった。本当に残念でした。
ということで、読んでいて気が滅入ったのですが、短い期間での心の移り変わりと、ジリジリするような風景描写がスリリングで印象的な本でした!
とにかく、働けばいいのにって思いました!
読んでいただきありがとうございました。