花の夢(仮)
こんな夢を見た
廃墟の舞台
君が独り
柔い光を浴びて
無邪気に舞い散る夢を
笑うな
そんな無邪気に笑うな
私は叫んだ
花曇りの光を浴びて
幼い緑をのぞかせる君は
私にはまぶしすぎる
花が散る悲しみは
君の思うより辛いのに
若葉が芽吹く痛みは
死を望むほど酷烈なのに
それでも強く笑う
どうして君は笑えるんだ
黒地に白く咲く花は
君の誇りじゃないのか
何故痛みに耐えてまで
最上の美しさを捨ててまで
緑に堕ちるんだ
それだってどうせ
散ってしまうのに
本当は分かっていた
でも忘れてしまった
同じ葉は二度とつかず
同じ花も二度と咲かない
刹那に輝く喜びを
代わりに覚えてしまった
あるはずもない
永遠に輝く美しさを
永遠などないのなら
いっそ花も紅葉も
なくなってしまえ
花が散るたびに
緑が萌えるたびに
あの日を思い出して
泣きたくないんだ
だから笑うな
春の光にさえ
夏の日差しにさえ
秋の紅色にさえ
冬の切れるような寒さにさえ
いつだって笑っていられる
君に嫉妬してしまうから
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