なよ竹月夜恨み節

その日も月が照っていた
星明りさえも消し飛ばす嫌味な光
自分の命を生んだはずのその光を
酒のきいた脳みそで軽蔑した

何もかもが変わってしまった
国のありようも
人のありようも
一切合切
私を包み込んでくれた
優しい両の手のひらも

――笑うな、忌々しい。

ただ一つ変わらぬ月の嘲笑に
酔った口からそんな言葉が滑り出る
また一口うまくもない酒をあおる

なぜお前だけなにも変わらないんだ
なぜお前だけそうも美しくいられるんだ
所詮日輪頼みの輝きのくせに

ふと自分の手のひらを見る
月光色に輝いていた

ふと熱くなった瞼から
ひんやりとした涙がひと雫
口惜しくて口惜しくて仕方がなかった
涙を止めようと頑張るのだけれど
悔しさがひとしお喉を濡らす

私だってなんにも変わらないじゃないか
嗤うアイツと何が違うんだ
千年前のよく晴れた
葉月の十五夜から
私の傷は癒えない


あとがき
かぐや姫に影響されて、本当に酒を入れながら書いた詩。


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