第5章 まちづくり人に必要な技術
第5章では、まちづくりを進めるうえで必要な技術をお伝えします。まちづくりに携わる方にはぜひおさえていただきたい大切な技術であり、その基本は生き生きとしたコミュニケーションと見える化(表現)。
「なんだ、そんなことか」と侮らないでください。意外に疎かになっていたり、奥が深かったり。もし苦手なところがあったなら、得意な人を見つけてチームを組むのも一つの手です。
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22.コミュニケーションを制するものはまちづくりを制する
まちづくりで成功する人にはある共通点があります。それは、コミュニケーションがちゃんととれる、ということです。
コミュニケーションには「自分から情報を出す(発信)」「情報を受け取る(受信)」「受けた情報を活用する(返信)」の三つのアクションがあります。
「発信」の重要性は言わずもがなでしょう。特に昨今のような情報化社会においては、目に留まり、記憶に残る発信術は大きな意味を持ちます。発信が得意な人は、自分が情報を届けたい人がどういう人なのかをしっかりと捉え、分析できているようです。あるいは、その人たちのことが大好きなので、自然と魅力的な表現になるのかもしれません。
次の「受信」ですが、アンテナを高くして、積極的に情報を取りに行くのはまちづくりの基本と言ってよいでしょう。他への関心の高さや他から学ぶという姿勢がこうした行為に表れます。多くの情報を得ているということは単に物識りであるというだけではなく、それを土台とした判断力や、アイディアを行動に移すスピードの速さにつながります。一方で、氾濫する情報に振り回されないようにすることも大切ですが、自分の方向性がしっかりと定まっていれば、自然と必要な情報が集まるようになるものです。
最後に「返信」ですが、受け取った情報は、適切なレスポンスをすることで初めて活用したことになります。もらったメールやSNSのメッセージにきちんと返事をするという基本的なこと(これができない人が意外なほど多い!)から始まり、問い合わせや申し込みへの対応、重要な情報を嗅ぎ分けて発信元に積極的に働きかける、というところまで、返信には様々なフェイズがあります。要は、ちゃんと他者の相手をする人は、他者からも相手にされるという単純なことなのかもしれません。
まちづくりが人と人の関係を紡いでいくことだとすれば、コミュニケーションを制する者がまちづくりを制するのは当然のことと言えるでしょう。(金子洋二)
23.生きた言葉を集めよう
最近ワークショップは全国どこの地域に行っても日常的に行われるようになりました。その中でも一番使われている手法がこの情報集約のワークショップではないでしょうか。
私はこのワークショップを行うときに気をつけていることが2つあります。その1つ目は集めた意見を単なる分類で終わらせないことです。
未熟なワークショップに参加すると、参加者が出したポストイットを分類し、「これは高齢者のこと」、「これは環境問題に関する意見」、「これは具体的なアイディア」、というような大括りに分けられただけでおしまいになってしまうケースがたくさんあります。これではただ単に意見を整理しただけになってしまいます。重要なことは本質的に同じ意味合いを持った複数の情報を統合することによって、新たな価値を持つ情報を生み出す必要があるということです。そうすることによってこのワークショップの創造性が高まり、参加者全員の思いがしっかり共有されていきます。
2つ目はワークショップの参加者に対して、明確な単位文を出していただくように気を配ることです。
単位文とはポストイットに書き出すような一つの短い情報文になります。これが主語と述語で構成された文章でなく単語であったり、二つ以上の情報が混在していたりすると、その後の集類〜統合の精度が極端に悪くなり、結果的に中途半端なまとめになってしまいます。
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