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アメリカでの、ジブリ映画の人気ぶり

インターネットがあるとはいえ、アメリカに住んでいると、やっぱり日本語書籍、邦画、日本のテレビ番組とは、距離ができるのものです。私のアメリカでの最初の居住地ベイエリアは、比較的日本人も多く住んでいるので、日本語のフリーペーパーも入手しやすかったものですが、サクラメントへ引っ越してからは、同じフリーペーパーの入手先も、車で30分はかかる、唯一の日本食スーパーのみ。電子書籍のKinidleにも挑戦しましたが、読書はやっぱり紙がいい。時に英語の本にも手を出しますが、慎重に選ばないと、日本語ではまずあり得ない、途中挫折が発生します。そんな私を知る母や、日本の友達が、折にかけ送ってくれる日本の単行本は、私の大きな喜びです。私の義理の母も読書好きで、50年前に日本から持ってきた本を、何十回となく繰り返して読んでいた状況なので、私が入手する新しい本を、同じように楽しみにしている様子。最近では、母から叔母のところへも、回し読みが広がっています。

邦画や日本のテレビ番組については、NetflixやAmazon Primeなどのおかげで、視聴可能なものが増えました。日本にいるときは、邦画はめったに見なかったのですが、邦画も独特な風合いがあり、いいものですね。「自国を離れて自国の良さに気づく」などとは、よく言われることですが、まさにそんな感じ。私にとって、そのひとつが落語なんです。なぜかアメリカへ来て、落語が好きになりました。「ラジオ版 学問ノススメ」という日本語ポッドキャストのゲストに登場した、当時、まだ二つ目だった落語家の立川志の春さんがきっかけでした。ちなみに、志の春さんは、子供の頃の数年間をアメリカで過ごし、その後、日本へ帰国して中学、高校に通い、再びアメリカの大学へと進学しています。古典落語、創作落語、そして英語落語も得意とする、落語と言う古風な世界にいながら、自然体、かつ超斬新な落語家さんで、2020年の春には、真打ちに昇進しています。実は、数年前にサンノゼの大学で公演があり、旦那さんと車で2時間かけて見に行ったものです。もう最高でした~。私の9年間のアメリカ生活の中で、ワクワク度合い、5本の指に入るレベルでしたね。

ちょっと話がそれました。邦画や日本のテレビ番組に戻します。インターネットで見られるものが増えてきてはいるものの、比較的古いものになりますし、限りもあります。アメリカ生活を通して、なんとも贅沢になったものですが、アメリカものばかり見ていると飽きてきて、かといって日本ものが続いても、それはそれで疲れてきます。という訳で、アメリカ生活の中で、時々思い出したように、日本のものを見るのが好き。なので、年に数回、日本のボスからドーンと送られてくる録画DVDが大重宝しています。ごくまれにリクエストすることもありますが、基本的にはおまかせチョイスです。なぜか大河ドラマは必須(笑)。そして、これまたなぜか、Eテレ番組が多く、時々、トレンディドラマが入っていたりします。送っていただいている分際で文句は言えませんが、大河であれ、トレンディドラマであれ、連続ものの場合は、たいてい途中の数話が抜けています。時には、始めの数話でそれっきり、なんていうことも。盛り上がってきたところで、「次がない、ない。マジか。。。」みたいなことはしょっちゅう。でも、全くもって便利な世の中で、ネット上を探しまくると、たいていの場合は、マレー語字幕だったり、中国語字幕だったりで、お目当てのものが見つかります。いつ削除されるか分からないので、大急ぎで見ることにはなりますが、抜けた穴を埋められることは確かです。

最近、このおまかせDVDで、楽しみにしているもののひとつが、ジブリ映画。夏に『ジブリ祭り』なるものがあり、ジブリ作品数本がテレビ放映されるようですね。年明けに届いた便の中には、「猫の恩返し」と「風の谷のナウシカ」が入っていました。「ナウシカ」は前にも送ってもらったんだけどなぁ。あ、抜けと同じくらい、重複もあるんです。私はもともとジブリ好きで、特に好きなのは「風の谷のナウシカ」と「千と千尋の神隠し」。ジブリ映画は、アメリカでも人気で、地域の図書館でレンタルもできます。職場などでも「ジブリが好き!」と言う人が多く、どれが好き?と言う話になることもしばしば。印象としては、「千と千尋の神隠し」は一番知られていて、人気も高い。特にジブリ好きでなくても、小さな子供がいる場合は、見ていることも多いですね。あと、根強い人気作品は「となりのトトロ」。キャラクターとしての人気も高く、車にトトロのステッカーが貼られていることもありますよ。トトロの可愛さは万国共通といったところなのでしょう。そして、私としては驚きなのが、「ハウルの動く城」の人気ぶり。日本では、好きなジブリ映画に「ハウルの動く城」をあげる人は珍しいのではないでしょうかね。それが、アメリカでは結構な割合で「ハウルの動く城」があがるのです。あと「借りぐらしのアリエッティ」も。私の同僚くんたちも、そろってハウル推しなので、改めて見返してみたほどです。もちろん悪くはないのですが、どこか日本語翻訳された海外の本を読んでいるような、微妙な違和感を覚えるのが、私の正直な感想。原作がイギリスのファンタジー小説ということですから、無理もないのでしょうが、いまいち、入り込めなさを感じてしまいます。でも、アメリカ人にとっては、そこが入りやすい部分なのかもしれませんね。アリエッティに関しても同じこと。こちらも、原作はイギリスの児童文学とのことですから。いうなれば、日本の洋食みたいな感じでしょうかね?実は日本生まれのナポリタンなのに、見た目はパスタだから食べやすい。オムレツだと思って食べてみたら、ケチャップライスが入ったオムライスで、これがおいしかった!みたいな?

では、超和風な「千と千尋の神隠し」はなぜウケているのでしょう?これはきっと、和食の巨匠が作った懐石料理のように、有無を言わせないおいしいさなのではないでしょうか。見た目には圧倒されるほどの和テイスト。よく分からないままに食べてみて、なんなのかやっぱり分からないけど、とにかくおいしい、みたいな感じ?だって、お仕置で名前をとられる、なんていう超日本的な感覚は、伝わっていないでしょうからね。それでも「おいしい!」とうならせるほどの、質の高さということなのでしょう。

そして、これまた驚くことに、私が一押しする「風の谷のナウシカ」の、アメリカでの認知度&人気度の低さです。ジブリ好きを名乗っていても、聞いたことはあるけど見たことはない、どんな内容なのかも知らない、という人も珍しくありません。私は、ナウシカこそ宮崎ワールドの真骨頂だと思っているのですけどね。そうだ、きっとナウシカは、山深いお寺の精進料理みたいなのだ。あまりにも独特で、神聖で。。。

あぁ、そうそう。もうひとつ、不思議とアメリカ人人気の高いジブリ映画がありました。「平成狸合戦ぽんぽこ」。私は見たことがないのですが、アメリカ人の間では、結構人気っぽいのです。そういえば、日本にいる頃、日本在住のジブリ好きアメリカ人の友達も、DVDを持っていたなぁ。なんなんだろう?マックみたいな感じ?それともスタバ?はたまた…?これは見てみたいところですね。

ところで、この記事のタイトル上の写真は、私の手作りハロウィンコスチュームを着た、うちの猫のもなかです。一目瞭然?!「魔女の宅急便」のキキ。もなかが『頭のリボンは耐えがたいニャン』というので、大きな赤いリボンはワンピースにつけました。これを見て、「あ、キキだね!」という人は、ある程度のジブリ通(笑)。毎年、ハロウィンにはもなかのコスチュームを手作りするのが私の恒例となっていて、その時期になると「今年は何にするの?」と聞かれることも増えてきた、ここ数年。ちなみに、この写真を見て「あ、キキだね!」と言ったのは、ポニョ推しのジブリ好き同僚君、ひとりのみでした。この彼、アメリカのアニメイベントに、手作りのコスプレで参加しちゃうほどのアニメ好き。これまでの自慢のコスプレは「千と千尋の神隠し」のカオナシなんだとか。180㎝を超える大柄な長身なので、カオナシにはぴったりかも。でも、手首には小さな小さなまっくろくろすけのタトゥーが入っていたりします。そう、結構本気のジブリファン。彼ほどのファンは稀かもしれませんが、「好きなジブリ映画」話は、アメリカでも結構盛り上がる話題のひとつです。スシ、ラーメンだけが日本じゃない!ということで、機会がありましたら是非。


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