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那珂川をモルック王国に!3年後には市民モルック大会を開きたい!

子どもからお年寄り、車椅子の方でも楽しめるニュースポーツのモルックを那珂川に広めたい。それが伊藤康裕さんの最初のチャレンジだった。今では大きな大会の開催に向けて活動している。

モルックとは、フィンランドの伝統的なゲームを元に1996年に開発されたスポーツで、数字が入った木製ピンの『スキットル』に木製棒の『モルック』を投げ、50点ちょうど獲得すると勝ち。50点を超えた場合は得点が25点に戻る。そのため後半には「残り何点必要か」と考えることが醍醐味だという。モルックは、個人でもチームでも楽しめるスポーツだ。

モルックで使用する12本の木製ピン「スキットル」

那珂川でなぜモルック?

そう思った方もいるだろう。これにはモルックの特性が関係している。実は伊藤さん、NRSラジオで駅セントリック!ナカガワに出演している。モルックを知ったのはその番組内だったという。

本場のフィンランドではキャンプとサウナと共にモルックを楽しむのが定番。そんなルーツから日本のキャンパーで知っている人も多く、番組でモルックに触れたことがきっかけとなり、八女市でキャンプをする人達に講師として呼ばれ、なんと40人と一緒にゲームを楽しんだこともあるそう。その時、半分以上の人はモルック初体験だったそうだが、焚き火を囲みながら盛り上がった。初対面でもみんなで楽しめるスポーツなのだ。

また以前より、「子ども会や地域のイベントで行われるスポーツは、経験者が有利だったり、体格の違いから楽しめない人がいるんじゃないか」そう感じていた伊藤さん。モルックは棒を倒すシンプルなスポーツで、体力差や体格差もさほどなく老若男女楽しめる。「これは平等性がある」と感じた。
早速、子ども会でモルックを行った際には「来年もお願いします」と声をかけられ、浸透していく手応えがあったという。

親交があったまち活チャレンジャーでもある増井翔太さんとも話が進み、そこで「やるなら協会を立ち上げよう」と5人で那珂川モルックリーグを立ち上げた。

モルック体験会に集まったみなさま

まち活UPなかがわを通し起こった変化

2020年11月のまち活大集合の番組内でモルックのリーグ立ち上げを宣言した。まずは名刺を作り出会う人に渡していったところ、段々と広まっていき新たな問い合わせが来るようになった。Instagramのフォロワーも増えていったという。

第一期まち活UPなかがわの最終報告会でモルックに興味をもっていただいた南畑の三浦工務店から「うちの会社のイベントでもモルックをやって欲しい」と伊藤さんに依頼があり、モルック体験会を開催する運びとなった。予想以上に興味を持つ人がいて、子どもと一緒に参加してくれた人も多かったそうだ。

2021.3.21まちの活力について考えるトーキングイベント(最終報告会)

活動していく中で、「モルックだけのイベントでは知ってもらう機会が狭まるかもしれない」と感じ始めていた。そんな中、まち活サロンで第一期まち活チャレンジャーの江口亜弥さんと出会い、自然の中でヨガとモルックを一緒に楽しめたら盛り上がるのではと、五ケ山クロスを会場にイベントを開催した。平らな芝生の広場はモルックを行うのにも最適な環境だった。

動き出すと新しい機会が増え「どんな変化が起こるんだろう」とその後の展開が楽しみになった。また、誰かと一緒に行動を起こしたことでその手法が参考になったとも話す。江口さんにとっても外でヨガを始めるきっかけになり、お互いに収穫を得る機会でもあったそう。まち活UPなかがわに参加したことで横のつながりが広がっていった。

五ケ山クロスベースでのコラボイベント

活動していく中で課題も見えてきた。イベント会場の確保だ。場所を借りるのが難しく、なかなか思うように場を作ることができない。そんな中、新たな場での機会が巡ってきた。

2023年12月には日吉神社でモルック大会を開催した。参加していたイベントがきっかけで「日吉神社を会場に使っていいよ」と声をかけてもらったそうだ。日吉神社での大会では協賛を得ることもできた。また、大会を開催するにあたって工夫したことがある。勝者も敗者も同じ試合数戦えるようにした。大会の終わりまでみんなが楽しめるような仕組みだ。

日吉神社でのモルック大会

関わる人が楽しい場であって欲しい。伊藤さんは通りすがりの人が気軽に参加できる環境にしたいと話す。またチームでも楽しめるので、これからは企業にも声を掛けチーム参加を促せたらと考えている。今は新規の問い合わせも増えてきているという。

この先の展望

モルックは全国的に広がっている。その中でも福岡を一番熱い地区にしたいと、仲間と一緒に福岡のモルック協会を立ち上げ準備を進めているそうだ。協会ではモルックの普及に力をいれつつ、那珂川市では地域ならではの大会を企画したいと構想を語ってくれた。

大きなモルックの大会を那珂川市内で開催する場合、会場となる場所の確保が難しいのが現状。それでも那珂川で開催したい理由を尋ねてみた。伊藤さんは区長を勤めていて、世代間交流が少なくなってきたことも肌で感じているという。様々な土地を巡るのではなく那珂川でモルックを広めていくことが特色となりまちの色を濃くしていく。ただモルックを広めたいのではなく、色んな角度から那珂川で普及したいと考えていると教えてくれた。

今、那珂川市民体育館にはモルックが4セット用意されていて、誰でも使えるようになっている。世代間交流もあり、地域で楽しむスポーツとして最適だと考えている。モルックを知ったのは偶然からだったが、みんなが楽しみやすいニュースポーツが人を惹きつけている。

今回のインタビューを終えた時「長いことやっているな」と伊藤さんは小さくつぶやいた。今開催している大会を定例化して毎年行い、数年後、モルック人口が増えた後には、市内の公園で大会を開催することを思い描いている。那珂川が『モルックの聖地』と呼ばれる日まで、伊藤さんはモルックを投げ続ける。 (まち活事務局:oioi)

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