TOYOTAのF1本格復帰は、2029年?
2024年10月11日、富士スピードウェイにて、TOYOTA GAZOO Racingは、車両開発分野などにおいてマネーグラム・ハースF1チームとの協力関係を結ぶことに合意し、基本合意書を結んだことを発表しました。
トヨタの発表によると、モータースポーツの世界最高峰のF1の現場において、若手ドライバーやエンジニア、メカニックが経験を積んで自動車産業の発展に貢献することを目指すということです。
実際にTOYOTA GAZOO RacingとハースF1チームの提携が噂になりはじめたのは、6月15日~16日に開催されたWEC世界耐久選手権第4戦「第92回 ル・マン・24時間耐久レース」の現場で、ハースF1チームの小松礼雄チーム代表がTGR WECチームを訪れていたことが発端でした。
その後、7月5日~7日に開催されたF1世界選手権第12戦イギリスGPのハースF1ガレージにて、トヨタ自動車の加地雅哉TGRモータースポーツ担当部長/技術室室長の姿が国際映像で映されると、TGRとハースF1に関する噂がパドックを駆け巡り始めたのです。
そして10月8日に突然提携発表の記者会見が行なわれ、技術提携だけではなく、若手ドライバーのF1経験も積ませるという嬉しいニュースが発表されたのです。
自分も最近のTOYOTAの動きを見ていて、「F1」を強く意識しているなとは感じていました。平川亮選手のマクラーレンF1チーム加入や、宮田莉朋選手の海外挑戦、しかもF2といったところに、F1進出を意識した動きが見え隠れしていたからです。
実際に、ヨーロッパのF1以下のカテゴリーを戦うチームには、将来的にTOYOTA育成ドライバーを受け入れるべく準備を進めているチームもありますし、TOYOTA育成ドライバーのヨーロッパ派遣も2025年以降、しっかりとしたレールが敷かれると思います。
そのあたりはTGRヨーロッパの副社長に就任した中嶋一貴氏や、TGR・WECチームの小林可夢偉代表の意見が尊重されていることでしょう。
その線から自分なりに推測すると、TOYOTAは将来的にF1ドライバー育成を含め、F1本格復帰を目論んでいるのだと思います。
2025年から2026年にかけて、TOYOTAはF1を頂点とするフォーミュラのピラミッドのうち、フォーミュラ・リージョナル選手権のエンジンを、TOM'Sエンジンに統一するよう、FIAに働きかけているに違いありません。これは、現在日本国内のスーパーフォーミュラ・ライツ選手権で使用されているエンジンをベースに開発される新エンジンです。
つまり、日本国内のFIA-F4やフォーミュラ・リージョナル・ジャパニーズ・チャンピオンシップからTOYOTA育成ドライバーをヨーロッパのフォーミュラ・リージョナルへと派遣し、マカオGPでのフォーミュラ・リージョナル車両による世界一決定戦に参戦させて勝たせたうえで、FIA-F3、FIA-F2、そしてF1へとステップアップさせたいのだと思います。
TOYOTAの過去のF1参戦は、フェラーリ同様、シャシーとエンジンを独自に開発したコンストラクターという立場でしたが、現状ではハースF1チームはF1デビュー時からエンジン(パワーユニット)に関してはフェラーリから供給を受けており、その契約は2028年末まで継続が発表されています。今回のTOYOTAとの技術提携において、フェラーリ側からかなり詳細に渡って守秘義務の確認がなされたようですが、それは当然のことでしょう。
そこで自分が考えるシナリオは、2029年に向けてTOYOTAがハースF1チームの株式を取得し、新生「TOYOTA F1 Team」として日本人ドライバーと共に華々しくF1に復帰してくれるのが夢ですね。
そうなることを信じて、FIA-F4を戦う現役高校生ドライバーたちは、真剣にレース活動を続けてください。きっと夢が叶う日が来ることと思います。
ででは、また!