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FIA-F4に乗ってみました。
実は町田、若かりし頃はレース参戦のために日夜努力する日々を送っていました。モータースポーツジャーナリストとしての仕事の理解度を深める意味でも実体験が何よりと思い、無謀にもフォーミュラレース参戦を決意。自らスポンサー活動や、体力トレーニングを秘かに続けながら、年に2~3戦、海外レースにスポット参戦を続けていたのです。
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フォーミュラマシンでのデビューレースは日本のJAF-F4で、国内を転戦するスーパーF4シリーズに参戦。当時は日本でレース雑誌「AUTOSPORT」の編集部員として活動していたので、国内レースでヘタに事故でも起こすと相手のレーサーを取材できなくなる不安もあり、また自分がドライバーとしてヘタレだったら他のドライバーに対して偉そうな記事もかけないと思い、誰も知らないような海外レースに参戦の場を移していたのでした。
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海外レース参戦は、かなり刺激的でした。その面白さにハマったおかげで、AF2000という入門カテゴリーから次第にステップアップ。最終的にはアジアF3選手権という、自分にとって無謀の一言に尽きるカテゴリーにたどり着きました。F3というのは、プロへの登竜門であり、そこで好成績を収めることができれば、F1へのチャンスがつかめる可能性もあるカテゴリーです。
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F3初体験。最初は身体が耐えられませんでした。横Gが強すぎて首の筋肉がもたないのです。F4に参戦したときの最初のテストでも首がもたなかったのですが、きっちりと筋トレして、かなり自信をもってF3にステップアップしたつもりでしたが、全然ダメ(汗)。ダウンフォースとタイヤのグリップが違いすぎて、高速コーナーではマシンがまだまだイケると言っているのに、自分がイケない。首がちぎれそうに痛くて、アクセルを緩めてしまうダメダメ状態。これはヤバイなと本気で感じた初体験でした。
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デビューレースは散々でしたが、その悔しさから本格的に筋トレを開始。全然ダメダメだった高速コーナーを4速全開でいけなかったら、レースを辞めるという気持ちで頑張りました。
そしてチームを移籍しながら何回か挑戦して、最高位は2位表彰台。優勝こそできませんでしたが、ダメダメだった高速コーナーは4速全開でイケるようになったし、ある意味満足できる結果でした。今でもその時のチームオーナーやレーサー仲間とは家族ぐるみで交流があります。
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さらに当時の勘違いしまくっていた自分は、今で言うならスーパーフォーミュラやF2に匹敵するアジア最高峰のクラス、フォーミュラ・ルノーV6に参戦を決意。本格的な筋トレを継続しつつ、メインスポンサーを獲得。レースも視察し、チームとも交渉し、実際にシート合わせまでしたのですが、開幕直前になってそのメインスポンサーが倒産してしまったのです! これも何かの運命だなと思って、きっぱりとレース引退を決意しました。ま、誰もそんなこと気にしなかったと思いますが、きっと続けてたら、間違いなく死んでただろうなと、今ならそう確信できます。
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それでもF3に参戦していたおかげで、夢だったF1マシンをドライブすることができました。ミハエル・シューマッハの乗ったベネトンや、デイモン・ヒルの乗ったアロウズ、そしてジャン・アレジが乗ったプロストを乗り比べるという、なかなかできない貴重な体験をさせて頂きました。(写真はアレジのプロスト。コックピット横に名前が書いてあります)
そして先日、ZAP SPEEDさんの「大人の試乗会」に参加してきました。自分にとって、実に20年ぶりのフォーミュラマシン試乗です。本当に久しぶりにフォーミュラマシンをドライブしました。感動というか、興奮しました。FIA-F4という現代のレーシングカーは、当時のF3に比べればパワーもダウンフォースも全然低いはずですが、運動不足のまま57歳になった自分には、もう充分過ぎるほどでした。楽しさ満点。またレース復帰に意欲がわいてきたのです。さぁ、どうしましょう?(汗)。
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