東京国立近代美術館「眠り展」『Sleeping Beauty: Memorial Photography in America』(2021)
眠ることを選択する。
現実から逃避するための眠りではなく、現実に向き合うために眠る。
死者と写真に写っている生者が、誰一人泣き顔ではないのが不思議といえば不思議だった。
もう涙も枯れて出てこないのかもしれないし、まだ、その人が死んだという現実を受け止め切れていないのかもしれない。
特に、父親が死んだ幼い娘と映っている写真には見入ってしまった。
この写真集に写っている生者もまた、今では死者なのだ。
そして、これを見ている自分も、いつかは死ぬのだ。
死は私的なもの。葬式は裏庭で、家族と行うもの。