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『矢川澄子ベスト・エッセイ 妹たちへ』矢川澄子 早川茉莉編 2024年㉓

アト・ホーム。いいことばではないか。ビー・アト・ホーム。遠慮せずに、のんびりなさってね。私空間とはもしかしてこのホームを意味するのであって、まちがってもハウスではない。

「ホームとハウス」

ついでに記せば、そのような「お話をかくひと」を夢みるとき、おかしなことにわたしは、無意識のうちにつねに女であることを忘れ、一個の人格として、男としてふるまっていた。この男は、少女の夢想のなかでしだいに成長して、ついには架空の恋人役をも兼ねるにいたる。

「不滅の少女」

そして、さいごに、ーこれがわたしのいちばんいいたかったことなのだが、少女とは、おそらく、そのような厳密な論理の支配下、明澄な知性の君臨する保護領で、冴えざえとしたよろこびのまなざしに支えられてこそ、もっとものびやかに精彩を発揮するにちがいない、可憐な生きものなのである。

「不滅の少女」

 時はゆくゆく乙女は婆ァに
 それでも時がゆくならば
 婆ァは乙女になるかしら

聞いたら最後わすれられない唐十郎さんの絶唱である。

「使者としての少女」


表紙の写真は、数年前の「眠り展」で印象的だった
”死者のための枕”。

#矢川澄子 #少女 #アリス  

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