マザーツリーに出逢えて
2019.7.10リリース
ミニアルバム『燃えない化石』
4曲目
「マザーツリー」を聴くと、やはり自分の祖母のことを思わずにはいられない。
実家の仏壇の横にずっとある古い写真。母にめちゃくちゃそっくりだけど、誰なんだろう?幼い頃は、よくわからなかった。
彼女は生まれつき心臓が弱かった。子どものいなかった曽祖母が、親族のうちから養子として迎え入れて育てたという。
病気がちながらも成人し、結婚し、母を生むことができた。昔の医療のもとだ。当時は体の弱い人の出産など命がけだったろう。
それから10年も経たないうちに、彼女は亡くなってしまった。
母はまだ幼い小学生、曽祖母が育てた。その曽祖母は私が生まれるまでを見届けてこの世を去った。
もしも祖母が、体が弱い子だからと大切に育てられなかったら?
もしも祖母が、体が弱いからと子どもを産むことを諦めていたら?
この世に母はいなかったし、もちろん私もいなかった。
そうでなくとも、人生にはいろんな「もしも」がたくさんあるのに。
ちょうど今自分が、彼女が亡くなったのと同じ歳を迎えて、やっとその意味を強く感じずにはいられない。
そして「マザーツリー」という曲に出逢った。
ライブで聴いてからずっと待ってた曲だけど、このタイミングで出会えたことの意味はものすごく大きい。
このマザーツリーを絶やしちゃいけないと強く思う。
幼い時から母に幾度となく聞かされてきたこの物語を、わたしも次へと語っていかなくてはと感じる。そしてその時には、この曲のことも物語に加えたい。
藍坊主の音楽は、人生のレベルで心に寄り添ってくれるから、ずっと聴き続けていきたいのです。
今回も素敵な音楽を、ありがとうございました。